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新型コロナは子どもも要注意 集団感染が増加

欧米では川崎病に似た症状を示すケースも

 大西淳子=医学ジャーナリスト

幼児は他の年齢の10~100倍のウイルスを排出している

 一般に、小児はインフルエンザやノロウイルス感染症を周囲に広げやすいことが知られています。しかし、新型コロナウイルスについては、小児が感染源になったという報告はほとんどありませんでした。世界的に、流行の早期に学校閉鎖が行われたことも、小児が感染源になるかどうかの検討を難しくしました。しかし、学校閉鎖や再開などを含めた、感染予防策を取り決める際には、小児が感染源になるかどうかに関する情報は欠かせません。

 米国では、「感染者の上気道に存在する新型コロナウイルスの量は、5歳未満の小児の方が有意に多い」という報告(*2)が出ています。この研究では、シカゴにある小児病院で、新型コロナウイルスのPCR検査で陽性と判定され、症状の発現から1週間以内だった145人について、PRC検査におけるCt値(下記参照)を分析しました。145人の年齢は生後1カ月から65歳で、症状は軽症から中等症でした。

Ct値とは

PCRで標的とするウイルス遺伝子を倍々増幅させる過程で、ウイルス遺伝子の量が設定された閾値に達した時点までに要した増幅回数を意味する。標本中に含まれているウイルス遺伝子が多ければ、少ない増幅回数で十分に検出でき、ウイルス遺伝子が少なければ、検出可能になるまでに要する増幅の回数が多くなる。つまり、Ct値が低いほど、検体の中に含まれていたウイルス遺伝子量が多いことを示す。

 年齢に基づいて対象者を3群に分け、Ct値の中央値を算出したところ、5歳未満(46人)は6.5、5~17歳(51人)は11.1、18~65歳(48人)は11.0になりました。これは、5歳未満の小児患者の上気道(鼻からのど仏のあたりまで)には、それ以外の年齢の患者の10倍から100倍のウイルスが存在していたことを意味します。したがって、5歳未満の乳幼児が、家庭内や幼稚園、保育園で周囲に感染を広げる可能性は高いと考えられました。

10代の感染者は家庭内感染を引き起こす率が高い 韓国

 韓国からは、「新型コロナの家庭内感染は、10代の若者が引き起こす可能性が高い」という報告がなされています(*3)。

 新型コロナウイルス感染のコントロールにおいて、感染者と接触した人の追跡が非常に重要だと考えている韓国では、位置情報、クレジットカード使用情報、防犯カメラの画像なども利用して、厳格な追跡を行っています。韓国疾病対策予防センター(CDC)の研究者らは、そうした追跡情報を利用して、家庭内または家庭外での感染の広がりを明らかにしようと考えました。

 まず、クラスターにおける最初の発症者、または最初にPCR検査で陽性になった患者を「発端患者」とします。発端患者からの感染リスクが高い、家族のような集団は全員をPCR検査の対象とし、そうでない集団については、症状のある人のみを検査対象にしました。対象外となった症状のない人には、14日間の自己隔離を指示し、公衆衛生担当者が隔日で状態を確認しました。

 今回の分析では、1人以上の接触者がいた発端患者のすべてを対象にし、接触者の発症が、発端患者よりも後だった場合に、発端患者からの感染と見なしました。発症率は、新型コロナウイルス感染症を発症した接触者の数(発端患者は除外)を、接触者全員の数で割り、100を掛けて算出しました。

 分析の対象となったのは、2020年1月20日から3月27日までに新型コロナウイルス感染症を発症した患者5706人と、接触した5万9073人です。家庭内感染、家庭外感染のいずれにおいても、接触者の数が多かったのは、20~29歳と50~59歳の発端患者でした。

 家庭内感染の可能性があった接触者1万592人のうち、11.8%に相当する1248人が、新型コロナウイルス感染症を発症していました。家庭内での感染を広げやすかったのは、60代、70代、10代の患者でした(表参照)。

 一方、家庭外で発端患者と接触した4万8481人では、発症率は1.9%(921人)と、家庭内に比べて低くなっていました。発端患者が高齢の場合に、接触者が発症しやすい傾向が見られました。

 今回の分析では、家庭外に比べ家庭内で感染が多く発生していましたが、これは、同時期にステイホームが指示されていたためである可能性があります。また、同国では2月から局所的に、また、3月には全国的に学校閉鎖が行われました。その間に10代の青少年がどのような行動を取っていたのかは不明ですが、在宅していた時間は、通常より長かったと考えられます。

 研究者たちは、「家庭内感染を防ぐためには、家庭内でもマスク着用などの感染予防策を取るべきだ」との考えを示しています。

表 家庭内、家庭外での接触者の新型コロナウイルス感染症発症率
家庭内接触者
(1万592人)
家庭外接触者
(4万8481人)
発端患者の年齢接触者の発症率発端患者の年齢接触者の発症率
0~9歳5.3%0~9歳1.1%
10~19歳18.6%10~19歳0.9%
20~29歳7.0%20~29歳1.1%
30~39歳11.6%30~39歳0.9%
40~49歳11.8%40~49歳2.0%
50~59歳14.7%50~59歳1.8%
60~69歳17.0%60~69歳2.9%
70~79歳18.0%70~79歳4.8%
80歳以上14.4%80歳以上4.6%
対象者全体11.8%対象者全体1.9%

(CDC Emerging Infectious Diseases. Published Online July 16, 2020.)

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