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熱中症防ぐなら、発汗時は綿よりポリエステルの服を

熱中症を衣服の工夫で防ぐコツ(前編)

 塚越小枝子=フリーライター

 従って、暑いときは手や腕、足先を露出することで効率的に熱が放散される。「サンダルなどで足の指先を出すことには大いに意味があります。長ズボンでも足の指を出せば熱放散効率はとても大きくなります。逆に、足先を靴などで覆うことは熱放散を著しく妨げます。手足の指部は凹凸が大きく表面積が広いため、熱放散効率がとても高いのです」(平田さん)

 さらに、「手足の末端でAVAを通過した血流は、心臓に戻るときに皮膚表面に近い静脈を通ることで腕や脚全体から積極的に熱を逃がし、体温調節に貢献しているため、腕や脚も、露出することである程度は熱放散を促進できる」(平田さん)という。そのため、長袖と半袖、あるいは長ズボンと半ズボンとでは熱放散の効率が大きく違ってくる。

2 体幹部は上下に開口部を作る
襟元を開け、シャツの裾をズボンなどから出すと、下から入った空気が上に通り抜ける「煙突効果」を期待できる。写真はイメージ=(c)Sergey Nivens-123rf
襟元を開け、シャツの裾をズボンなどから出すと、下から入った空気が上に通り抜ける「煙突効果」を期待できる。写真はイメージ=(c)Sergey Nivens-123rf

 暖まった空気は上昇するため、襟元が開いているだけで、皮膚表面の空気がそこから外に抜け出て体幹の温度も多少下がる(希釈換気という)。

 「TPOにもよりますが、襟元を開けるだけでなく、シャツの裾をズボンなどから出して下から入った空気が上に通り抜けるようにすると、換気が著しく有効になるでしょう。これを煙突効果といいます」(平田さん)

 上下に開口部をつくると、動くたびに空気の流れが起こり(ポンピング効果)、換気も促進されるという。

3 汗をかくようなときは、綿よりポリエステル

 衣服の素材によって、体温上昇の具合は異なる。平田さんらは綿100%のTシャツとポリエステル100%のTシャツを用いて、温熱環境下での衣服の表面温度と、皮膚血流量を調べる実験を行った(*1)。その結果、発汗が始まった頃から特に吸湿性の高い綿のほうが大きく衣服の表面温度が上がり、皮膚血流も増加した(図2)。

発汗が始まると綿のほうの衣服表面温度と、綿を着ている人の皮膚血流量の値が上がった
発汗が始まると綿のほうの衣服表面温度と、綿を着ている人の皮膚血流量の値が上がった
[画像のクリックで拡大表示]

 「ポリエステルは構造上、繊維内部に水分を保持しにくいため乾きやすいのですが、綿素材は水分が繊維そのものに染み込み、保たれた水分が温まって収着熱と呼ばれる熱が上乗せされます。汗をあまりかかない状況では綿のTシャツも吸湿性が高く快適ですが、汗をかくと吸湿性により暑く不快に感じるのです。ただし、同じ素材でも汗のかき方によって収着熱の影響は変わります。環境条件や個人差によっても感じ方は違ってきます」(平田さん)

 平田さんによれば、汗をかいているときは、綿のような、吸湿性が高くて、さらに繊維内部に水が入り込んで膨れ、中に水分を保持しやすく、環境へ蒸発されにくい素材より、ポリエステルのような、吸水性(繊維と繊維の隙間に毛細管現象(*2)で水を吸い上げる)と速乾性(繊維内部に水分を保持しにくいため乾きやすい)を兼ね備えた素材のほうが、熱放散が促進されやすいという。

*1 Tanaka K, et al. Heat of sorption induced by sweating affects thermoregulatory responses during heat load. European Journal of Applied Physiology. 2001;84:69-77.

*2 毛細管現象とは、重力に関係なく、液体がその表面張力と付着力によって繊維と繊維の隙間を上昇・下降する現象
熱中症
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