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蚊に刺された…プロが教える市販薬の正しい選び方

「爪で×」「ストッキングの上から虫よけ剤」はNG!

 塚越小枝子=フリーライター

暑さが猛威を振るうと、蚊の活動も気になるところ。蚊に刺されるとついつい掻きむしってしまいがちですが、傷になると肌に痕が残ってしまうことも。そこで、蚊に刺されたときの上手な対処法を帝京大学薬学部教授の下平秀夫さんに教えてもらいました。市販のかゆみ止めも成分を見極めて使えば、より早く効果的にかゆみを止めることができるそうです。

蚊に刺されるとかゆいのはナゼ?

蚊に刺されたあとのあのかゆみ…どう対処すれば良いのでしょうか?
蚊に刺されたあとのあのかゆみ…どう対処すれば良いのでしょうか?(©cristi180884-123rf)

 蚊に刺されるとかゆいのはなぜでしょうか? 蚊は皮膚に止まって血を吸うとき、そこに唾液を注入します。この唾液には血を固まりにくくする作用を持つ成分など、さまざまなものが含まれており、これに対してアレルギー反応が起こります。アレルギー反応として炎症が起こった結果、かゆみや腫れが生じるのです。

 かゆみを引き起こすのは主に肥満細胞から分泌される「ヒスタミン」という物質。かゆみ止めの抗ヒスタミン剤はヒスタミン受容体と先に結びついてヒスタミンをブロックすることで反応を抑えます。


皮膚に傷ができるほど爪で「×」をつけるのはNG!

傷ができるほど掻きむしったり、爪で跡をつけるのはNG
傷ができるほど掻きむしったり、爪で跡をつけるのはNG。(©ginasanders-123rf)

 蚊に刺されたときは、ついボリボリと掻いてしまいがち。でもそれで治まるのは一瞬で、掻いた後はよけいにかゆみが強くなってしまいます。掻くと炎症が広がって悪化したり、傷になるとそこから細菌に感染したり、痕が残ったりすることもあります。同様に、皮膚に爪で「×」をつけるのも、傷になり感染の可能性が高まるため避けましょう(関連記事:間違いだらけ! 蚊に刺されたときの対処法)。

 また、特に皮膚が弱い子どもは、刺されたところを強く掻きむしると、引っ掻き傷が悪化して水ぶくれになってしまうことがあります。傷から細菌が入り、「とびひ(伝染性膿痂疹)」になることもあるので注意しましょう。

かゆみにすぐ効くのは「抗ヒスタミン成分」

 蚊に刺されたときのかゆみを止めるには、掻かないようにして、なるべく早くかゆみ止めの薬を塗るのが一番です。

 ドラックストアや薬局で販売されているかゆみ止めのほとんどは、いくつかの成分を組み合わせて配合されています。同じ銘柄でも、成分が異なるので、添付文書や外箱の成分表示をよく見て購入し、用途に応じて上手に使い分けるのがおすすめです(参考記事:「虫に刺された…」ときに効く薬)。

 その中でも、知っておきたい、「虫刺されによる“かゆみ”に効く成分」は次の3つ。

抗ヒスタミン成分(ジフェンヒドラミン塩酸塩など)

 ヒスタミンをブロックして炎症やかゆみをやわらげる。刺された直後のかゆみを抑える即効性がある。かゆみをすぐに抑えたいなら、抗ヒスタミン成分配合の製品を選ぼう。

ステロイド成分(プレドニゾロンなど)

 炎症の根本にはたらきかけるので、かゆみを抑える力が強い。抗ヒスタミン成分ではかゆみが鎮まらないひどい虫刺されや、ぶり返すかゆみにも適する。

清涼成分(l−メントール、dl-カンフルなど)

 スーッとした刺激でかゆみを感じにくくする。ただし傷がある場合は染みるので注意!

 その他、局所麻酔作用のある成分(リドカインなど)、殺菌消毒成分(イソプロピルメチルフェノール)などが配合されているものもあります。中でも、消炎・血行促進作用のある保湿成分ヘパリン類似物質は、皮膚の再生を促す作用があるので、赤くなったり黒ずんでしまった痕にも効果があります。ヘパリン類似物質は、傷痕を治療する市販薬にも配合されています。

 まずはこうした市販薬が選択肢となりますが、かゆみが強くいっこうに治まらないときや、しつこくぶり返すとき、痕を残したくないときなどは皮膚科を受診しましょう。

虫よけ剤の使い方にはコツがあった!

肌に直接噴霧できる虫よけ剤はこまめに付け直しましょう。(©taolmor-123rf)

 市販の虫よけ剤は持続時間が4~6時間で、汗をかくととれてしまうので、その都度つけ直します。多くの虫よけ剤には、ディートという昆虫忌避成分が使われていますが、濃度によって医薬品と医薬部外品に分けられます(医薬品は12%以上)。濃度が高い方が、作用は強いと考えてよいでしょう。

 生後6カ月未満の乳児には使用せず、小さい子どもは使用回数を少なくすること。また、子どもの場合は、ディートを含む商品のうち、霧状の液を吸い込まないようティッシュタイプやロールオンタイプのものを使うことをお薦めします。

 衣服選びも大切です。山など虫の多い場所に行くときは長袖、長ズボン、帽子、手袋を着用するなどして、肌の露出を少なくするように気をつけ、首筋や腕、足など露出する部分に虫よけ剤をつけます。ただし、ポリエステル系やポリウレタン系の生地にディートをつけると変質することがあるので、ストッキングの上からつけるのは避けましょう。

 自宅でよく蚊に刺されるという場合は、近くに蚊が発生する水場があることが考えられます。水場や草木が茂る場所に蚊が生息しますので、庭やベランダなどで家庭用殺虫剤を使用する、部屋に蚊が嫌う香りを漂わせるなど、蚊を発生させないような環境づくりも心がけましょう。

下平秀夫(しもだいら ひでお)さん
帝京大学薬学部 教授
下平秀夫(しもだいら ひでお)さん 東京薬科大学薬学部卒。医薬品情報専門薬剤師。日本医薬品情報学会OTC情報委員会担当。好評連載「薬剤師直伝! 市販薬の選び方・使い方」で、「『虫に刺された…』ときに効く薬」を執筆した。