日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様

日経 Gooday

ホーム  > 医療・予防  > トピックス  > 屋外でマダニに刺されると牛肉アレルギーに!?  > 2ページ
印刷

トピックス

屋外でマダニに刺されると牛肉アレルギーに!?

海や山のレジャーがきっかけになる「遅発性アナフィラキシー」の怖さ【その1】

 大西淳子=医学ジャーナリスト

牛肉を食べて3時間以上たってから蕁麻疹やショック症状

 島根大学が、牛肉アレルギー患者25人を対象に行った調査によると、牛肉を食べてからアレルギー症状が現れるまでに3時間以上かかった患者が65%、5時間以上かかった患者が24%もいました。ほとんどの患者が蕁麻疹を経験し、6人はアナフィラキシー・ショックを発症、1人は呼吸困難を訴えました。腹痛や下痢といった消化器症状も認められました。

 牛肉を食べてから3時間以上経って蕁麻疹やアナフィラキシーが現れた理由は、α-galと呼ばれる「糖鎖」(いくつかの糖が鎖のようにつながったもの。数個つながったものがオリゴ糖)にありました。α-galは、牛肉のみならず、哺乳類の肉の多くに含まれていますが、鶏肉や魚には見つかりません。ただし、子持ちカレイ(特に卵)にはα-galが存在します。そのため、上記の25人中19人が、子持ちカレイにも反応していました。食べたあとには全員に蕁麻疹が発生、7人はアナフィラキシー・ショック、2人が呼吸困難になりました。吐き気、下痢や手のしびれといった症状も報告されています。

牛肉アレルギーの原因の一つはなんとマダニ!

 なぜα-galが遅発性のアナフィラキシーを引き起こすのかは解明されていませんが、近年、α-galに対するアレルギーは、山や林の中に生息するマダニに咬まれることによっても成立することが分かってきました。

 マダニは消化管にα-galを持っているため、マダニに何度も咬まれるうちに体の中にα-galが入り、牛肉や子持ちカレイなどに対してアレルギー反応を示すようになるというのです。マダニは日本中に生息しています。草むらや森に入る時には、長袖、長ズボン、手袋、長靴を身につける、等の対策を怠らないようにしてください。

 なお、ごく一部ではありますが、医師が処方する薬剤や、ゼラチンを含むワクチンにもα-galが含まれています。獣肉アレルギーかも、と思ったら、受診の際に医師に伝えてください。

(©monphoto-123rf)
(©Marco Uliana-123rf)
マダニに刺されるうちに牛肉アレルギーになってしまうかも…。マダニはさまざまな感染症も引き起こすので要注意。

 次回(2015年8月11日公開予定)は「納豆」と「クラゲ」という意外な組み合わせで起こる遅発性アナフィラキシーをご紹介します。

■参考文献
1 海老澤元宏編『症例を通して学ぶ年代別食物アレルギーのすべて』南山堂 2013年
2 千貫祐子(島根大学皮膚科講師);第43回日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会 シンポジウム「牛肉アレルギーの意外な実態」 2013年11月29日~12月1日
3 van Nunen S. Tick-induced allergies: mammalian meat allergy, tick anaphylaxis and their significance. Asia Pac Allergy. 2015 Jan; 5(1): 3-16. Published online 2015 Jan 28. doi: 10.5415/apallergy.2015.5.1.3 PMCID: PMC4313755
4 Mullins RJ, et al. Relationship between red meat allergy and sensitization to gelatin and galactose-α-1,3-galactose. J Allergy Clin Immunol. 2012 May;129(5):1334-1342. e1. doi: 10.1016/j.jaci.2012.02.038. Epub 2012 Apr 3.

先頭へ

前へ

2/2 page

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 熱中症・かくれ脱水を防ぐ「水分補給」「マスク着用」のコツ

    脱水症やその一歩手前の「かくれ脱水」とはどういうもので、なぜ様々な病気につながるのか、脱水症はどんな人がなりやすく、どう予防すればいいのか。夏の今こそ知っておきたい、脱水症の怖さと対策について紹介する。さらに、夏期におけるマスク着用の注意点についても解説する。

  • かかると怖い!「膵炎」「膵がん」

    激痛に襲われる「急性膵炎」や、発見しにくく5年生存率が極めて低い「膵がん」など、膵臓の病気には厄介なものが多い。今回は、膵臓という臓器の役割や、膵臓の代表的な病気である「膵炎」「膵がん」の怖さ、早期発見のコツをまとめていく。

  • 60代以降で急増! 男を悩ませる前立腺の病気

    中高年にさしかかった男性にとって、病気が心配になる臓器の1つが「前立腺」だ。前立腺の病気のツートップ、前立腺肥大症と前立腺がんは、いずれも中高年になると急増する。前立腺肥大症は夜間頻尿などの尿トラブルの原因になり、前立腺がんは、進行が遅くおとなしいがんと思われているが、骨に転移しやすいという特徴があり、怖い一面もある。今回のテーマ別特集では、前立腺の病気の症状から、具体的な治療法までを紹介していこう。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2020 Nikkei Inc. All rights reserved.