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デルタ株で懸念される「ブレイクスルー感染」のリスク

ワクチン接種者の重症化リスクは低いが、米CDCは再度マスク着用を呼びかけ

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 新型コロナウイルスの変異株、特にデルタ株と呼ばれるウイルスが猛威を振るっています。この変異株に関して先日、日本の大手メディア数社が「デルタ株、水痘(水ぼうそう)に匹敵する感染力」といったタイトルのニュースを流し、人々を驚かせました。この情報は、米ワシントンポスト紙が入手した、米疾病管理予防センター(CDC)の内部資料に由来します(*1)。

 CDCはその後、この内部資料の存在を認めるとともに、他の最新データも提示して、「デルタ株は、従来株よりも感染しやすく、重症化リスクが高く、ワクチン接種を完了している人でも容易に感染し、さらに周囲に感染させてしまう」という特性を持つことを強調し、ワクチン接種を完了しているかいないかに関わらず、再度、米国民にマスクの着用を求めました

明らかになってきたデルタ株の特性

  • 感染力が従来株より高く、水ぼうそうに匹敵する
    (1人の感染者が5~9.5人程度に感染させる)
  • 重症化リスクも従来株より高い
    (ICU入院リスクは約4倍、死亡リスクは2倍超)
  • ワクチン接種完了者の感染(ブレイクスルー感染)や、既感染者の再感染リスクが従来株より高い
  • ただし、ワクチン接種完了者であれば重症化リスクは低い

デルタ株は水ぼうそうと同程度の感染力

 米国では、2021年2月頃から、ワクチンの接種を完了した後(決められた回数を接種してから2週間後以降)に新型コロナウイルス感染症によって入院する、または死亡する患者が徐々に増加し、5月に急増していました。

 これまで、米国で接種されているファイザー社、モデルナ社、ヤンセン社(ジョンソン・エンド・ジョンソン社)のワクチンの、デルタ株による新型コロナウイルス感染症の発症予防効果と入院予防効果は、従来のウイルスを対象とした場合とほぼ同様で、感染予防効果はやや落ちる、といった報告が複数なされていました。しかし先頃、イスラエルが、ファイザー社のワクチンを接種した人に、デルタ株の感染と発症が増えていることを公表しました(その結果、イスラエルはワクチンの3回目の接種を開始しました)。

 この内部資料では、デルタ株を含む新型コロナウイルスや、その他のさまざまなウイルスに感染した患者1人が何人に感染させうるかが比較されています。これによると、デルタ株感染者は、従来株の2倍から3倍程度の人、すなわち5人から9.5人程度に感染させる可能性が示されているとのことで、このレベルは、最悪の場合、水ぼうそう(水痘)の原因となる水痘帯状疱疹ウイルス(*2)の8~10人に匹敵します。

 また複数の論文を引用して、デルタ株の感染者の喉や鼻に存在するウイルスの量は、これまでのウイルス株に比べてより長い期間、高いレベルを維持していることや、初回の新型コロナウイルス感染から180日以上経過した人が、デルタ株に再感染するリスクは、従来株に再感染するリスクより高いことを示しました。

*1 ‘The war has changed’: Internal CDC document urges new messaging, warns delta infections likely more severe. The Washington Post. July 29, 2021.
*2 水痘帯状疱疹ウイルスは、飛沫感染、接触感染に加えて空気感染するウイルスで、感染力が高いことで知られています。

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