いよいよリオ五輪、ジカ熱の最新情報を総まとめ
ブラジルでの流行はピークを過ぎる、だが蚊対策は万全に
大西淳子=医学ジャーナリスト
ブラジルの今 ~リオ五輪観戦は危険?~
ブラジル保健省によると、1週間あたりのジカウイルス感染症発症者数が最も多かったのは2016年2月14日から20日までの週でした。発症者は、それ以降緩やかに減少し、5月第1週にはピーク時に比べ87%減少していました(*2)。

米疾病予防管理センター(CDC)は2016年7月13日、リオ五輪がジカウイルス感染症の流行拡大に結びつくことはないという見解を示しました(*3)。
ブラジル政府観光局の予想では、リオ五輪には、207カ国から、35万人から50万人の選手と観戦客が訪れますが、その数は、2015年に、ジカウイルス感染症の流行が報告されていた国を訪れた旅行者全体の0.25%に過ぎないこと、また、五輪開催期間はブラジルの冬に当たるため、蚊に刺されるリスクは低いことを、CDCは理由として挙げています。
ただし、妊婦は五輪観戦に行くべきでなく、全ての観戦者は、リオ訪問中と、帰国後3週間は、蚊に刺されないようにする必要があるとCDCは述べています。そして、全ての観戦者に対して、性行為によるジカウイルス感染を予防するために対策を取るよう注意喚起しています。
*3 http://www.cdc.gov/media/releases/2016/s0713-paralympic-games-risks.html
性行為感染に注意 ~流行地に渡航していなくても感染の恐れ~
ジカウイルスは感染者との性行為でも感染します。CDCは、2016年7月15日、女性から男性へのジカウイルス感染が初めて報告されたと発表しました(*4)。これまでの性行為感染は、多くが男性から女性パートナーへの感染で、一部に男性から男性パートナーへの感染も報告されていました。
なお、精液中には、ジカウイルス感染症発症から最長93日後まで、ウイルス遺伝子が存在します(*5)。
WHOが旅行者向けに提供した情報を日本語で提供している厚生労働省検疫所は、「ジカウイルスのさらなる伝播を防止し、妊婦への害と胎児への影響を防ぐために、旅行からの帰国者は一貫して適正にコンドームを使用するか、もしくは、少なくとも8週間は性交渉を控え、安全な性生活に努めてください。男性が症状(発疹、発熱、関節痛、筋肉痛や結膜炎を)を発現しているときには、性行為をより安全に行うことを選択するか、少なくとも6カ月間は(性行為を)控えることを考える必要があります」と述べています(*6)。
- 次ページ
- 日本では帰国者7人が発症