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これからのオンライン診療はどうなるの?

第2回 オンライン診療の未来と課題

 梅方久仁子=ライター

医療情報のネットワーク化は、ぜひ実現してほしいと思います。こちらの病院で検査を受けたのに別の病院でまた同じ検査を受けてといったムダが多すぎます。

武藤 バラバラの医療情報をつなぐためには、今はかかりつけ医を持ちましょうという話になっています。それはもちろん必要なのですが、かかりつけ医のレベルにばらつきが発生していることが問題だと思います。

 かかりつけ医のばらつきを解消するためにも、医療情報のネットワーク化は役立ちます。ネットワーク化されると、ほかの医師がどういうことをしているかが、互いにわかります。「これはこうしなさい」と上司から言われるとカチンと来る人でも、同僚がよさそうな方法を使っていたら、自分もまねしようと思いますよね。医師同士が情報を共有すれば、全体のレベルが上がっていくはずです。

ただ、医療情報がネットワーク化されると、個人情報が漏れないか心配です。

武藤 もちろんプライバシーは重要ですから、セキュリティー対策はしっかりやらなくてはなりません。ただ、私は、過剰に反応しすぎても課題解決が進まないことも事実かと思います。私はよく、プライバシーの問題を主張する人に対して「ネットバンキングを使っていますか?」と聞いています。お金の情報もすごく大事なはずなのに、多くの人はネットバンキングを使っています。ネットバンキングと同様に、医療情報もしっかりとセキュリティー対策を講じれば、医療情報のネットワーク化も実現するかもしれません。

オンライン診療普及の鍵は「インセンティブ」

実際問題として、日本のオンライン診療は発展していきそうですか。

武藤 オンライン診療が普及するには、インセンティブが重要だと思います。「これをやれば自分にとってとてもいいことがある」と思えば、みんな利用を始めます。それは金銭的なメリットだけではなくて、例えば医療者の立場では、「これをやればリスクを減らせる」といったことでもいいのです。患者さんの側では、まず、オンライン診療はこういうものだと多くの人に知っていただくことが重要だと思います。

 今回、診療報酬と厚生労働省のガイドライン(「オンライン診療の適切な実施に関する指針」)が短期間に別々にできたので、実際に診療を始めてみると、使いにくいと感じるところが出てきているかと思います。ガイドラインは毎年、診療報酬は2年に1度見直すことになっているので、今後、使いやすいものに変えていかなくてはならないでしょう。

日本ではオンライン診療は始まったところですが、世界的には、どうなっていますか。他国では、オンライン診療は進んでいるのでしょうか。

武藤 残念ながら、日本のオンライン診療は先進国の中では非常に遅れています。アメリカやヨーロッパではかなり普及しているのに、日本はやっと今始まったところです。

 日本で遅れている理由の一番は、今の日本の医療が非常に充実しすぎているからだと思います。日本では、自由に医療機関に行って、保険で診察を受けられますから。例えばアメリカなら、何とか医療費を安くしたいというニーズがあるので、オンライン診療が普及しやすいわけです。

 日本のすばらしい医療の中で、オンライン医療のニーズを見つけてビジネス化していくことは、簡単ではないと思います。でも、なんとか方法を見つけて、オンライン診療を広げていきたいと思います。

武藤真祐(むとう しんすけ)さん
医療法人社団鉄祐会 理事長
武藤真祐(むとう しんすけ)さん 1996年、東京大学医学部卒業。2002年、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。東京大学医学部附属病院、三井記念病院にて循環器内科、救急医療に従事。2004年より約2年半、宮内庁で侍医を務める。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2010年、東京都文京区に祐ホームクリニックを開業。2011年9月、東日本大震災により甚大な被害を受けた宮城県石巻市に祐ホームクリニック石巻を開設。

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