機能性表示食品制度で注目集めるEPAって?
血液をサラサラにし、運動効果も高めるEPAパワーをチェック
伊藤和弘=フリーライター
今年度からいよいよ「機能性表示食品制度」が始まった。これは食品の健康に対する効用を企業の責任で表示できるというもの。とりわけ注目され、今後関連商品が増えるかもしれないと期待されている栄養素の一つに、消費者庁の「食品の機能性評価モデル事業」で唯一総合評価「A」を受けたEPA(およびDHA)がある。EPAはいったいどんなパワーを持っているのか? 日本水産主催の「EPAメディアセミナー」で専門家の話を聞いた。
イヌイットに心筋梗塞が少ないワケ

EPA(エイコサペンタエン酸)とは、イワシやサバなど青魚の魚油に多く含まれている脂肪酸。同じく魚油に多いDHA(ドコサヘキサエン酸)と同じ「オメガ3」という種類で、体内で合成できないため食品から摂らなければいけない必須脂肪酸のひとつだ。
2012年にグルコサミン、コエンザイムQ10、ヒアルロン酸など人気の高い11種類の栄養素を消費者庁が判定した「食品の機能性評価モデル事業」で、EPA/ DHAは「心血管疾患リスク低減」や「血中中性脂肪低減作用」で「十分な根拠がある」という総合評価「A」を受けている。ちなみに11種類の中でA評価を受けたのはEPA/ DHAだけ。それだけ明らかな効果が認められているといえる。
「EPA研究の発端は1960年代に行われたイヌイットの疫学調査でした」と、長年EPAの研究を続けてきた晴山会平山病院(千葉市花見川区)の小林悟薬局長は話す。
グリーンランドに住むイヌイットは脂肪の摂取量が多いにもかかわらず、デンマークの白人に比べて心筋梗塞の発症率が低く、1割以下だったのだ。
やがて、EPAが「赤血球を柔らかくする」ことが明らかになる。毛細血管の直径は赤血球よりも小さいので、赤血球がグニャリと変形しなければ血管の先端部まで届かない。つまり、赤血球の変形能を高める作用があるEPAには血液の流れをスムーズにする作用があるということだ。心筋梗塞は心臓の冠動脈が詰まる病気なので、血行が良くなればそれだけ起こりにくくなる。
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- 医薬品になるほどの血液サラサラ効果
