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運動時の熱中症対策、水は1回にゴクゴク…と「9口」がコツ

熱中症・脱水予防のために知っておきたいこと(3)

 伊藤和弘=フリーランスライター

 「例えば野球では、敵の攻撃が終わるまで、炎天下のグラウンドに立ち続けなければいけない。その間は自由に水も飲めませんし、トイレにも行けません。熱中症予防のためには、特に練習中や練習試合などではルールをアレンジすることも必要でしょう」(渡部准教授)

WBGT(暑さ指数)を確認する

 熱中症のリスクを判断するには、その場の環境を正しく認識するのが基本だ。そのためにWBGT(=Wet Bulb Globe Temperature)という数値を確認しておこう。日本語では「暑さ指数」と訳される。気温に湿度と輻射熱を取り入れた指標で、気温と同じ摂氏で表されるが、「一般に気温より3~4℃低くなります」と渡部准教授。

 日本体育協会では、WBGTが31℃以上(気温35℃以上)の日は「特別の場合以外は運動を中止する」、WBGTが28℃以上(気温31℃以上)の日は「激しい運動や持久走などは避ける」ように指導している。

図2 WBGT(暑さ指数)と運動
日本体育協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」(2013年)より
[画像のクリックで拡大表示]

 環境省では、熱中症予防情報サイトで全国各地のリアルタイムのWBGT(暑さ指数)を子どもや体育館などの条件別にも発表している。これからの季節、スポーツをするときはぜひチェックしてほしい。

水は1回につき9口飲み込むのが目安

 夏にスポーツをしていて具合が悪くなったら、まずは熱中症を疑おう。のどの渇き、被刺激性(イライラ)、頭痛とめまい、筋肉のけいれんや普段と異なる疲労感、吐き気といった症状は、熱中症の危険兆候だ。これらの症状を自覚したときは、すぐに涼しい場所に行って水分を補給してほしい。

 スポーツ中に熱中症になった人を見つけたら、まずは直射日光を避けて日の当たらない涼しい場所へ運ぶ。氷水、エアコン、霧吹き、扇風機などを利用して、とにかく体を冷やすことが大切だ。

 WBGTのチェックとともに、熱中症予防には水分補給が欠かせない。

 「運動によって短時間で大量の熱が発生し、それに見合って汗もたくさん出る。運動中はもちろん、運動前からそして運動後にも積極的な水分補給が必要です」と渡部准教授。

 ただの水でもいいが、理想は0.1~0.2%の塩分(市販の飲料では「ナトリウム:40mg〔100ミリリットル中〕」「食塩相当量:0.1g」などと表示)と4~8%の糖分を含んだ水。まず運動の前に250~500ミリリットル、運動中は1時間に500~1000ミリリットルの水を飲むといい。1回に飲む量を200~250ミリリットルとすれば、運動前に1回、運動中は1時間に2~4回飲むことになる。

 「250ミリリットルは意外と多い量です。また、スポーツ活動で使う水筒は中が見えず、量が分からないことが多いです。ごっくん、と1口で飲み込む量が20~30ミリリットル程度。ごく、ごく、ごく……、と9口飲み込めば200~250ミリリットルになります。『ごっ9(く)ん』と覚えるとよいでしょう」と渡部准教授はアドバイスする。

 前に触れたように、ゴルフやウオーキングなど、軽い運動でも油断できない。熱中症にならずに夏のスポーツを楽しみたければ、くれぐれもWBGTのチェックとまめな水分補給をお忘れなく!



熱中症・脱水予防のために知っておきたいこと

第1回 熱中症、重症かどうかの見極め方は? 応急措置はどうする?
第2回 高齢者の「熱中症」はなぜ多い? 脱水の予防策は?
第3回 運動時の熱中症対策、水は1回にゴクゴク…と「9口」がコツ
渡部厚一(わたなべ こういち)さん
筑波大学体育系准教授
渡部厚一(わたなべ こういち)さん 1989年、東京大学教育学部体育学健康教育学科卒業。95年、筑波大学医学専門学群卒業。筑波大学附属病院、国立病院機構茨城東病院(旧・国立療養所晴嵐荘病院)、などの勤務を経て、2006年に筑波大学講師に就任。2012年より現職。日本体育協会公認スポーツドクター、日本障がい者スポーツ協会障がい者スポーツ医。

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