体が柔らかい人は不要? ストレッチにまつわる「7つの誤解」
整形外科専門医・中村格子さんに聞く(2)
村山真由美=ライター
運動前にじっくりストレッチを行って体を伸ばす人は多いが、それは今や時代遅れだということをご存じだろうか? また、「体が柔らかい人はストレッチをやる必要はない」とか、「ストレッチはある程度の時間をかけてやらないと意味がない」などと思っていないだろうか? 前回記事「無理な開脚・寝起きの前屈…やってはいけないストレッチ」に続き、ストレッチに関するよくある誤解、知っておきたいことについて、整形外科医でスポーツドクターのDr.KAKUKOスポーツクリニック(東京・代官山)院長、中村格子さんに聞いた。

Q
開脚ができるような体が柔らかい人は、ストレッチをやる必要はない?
A ×
全身が柔らかいとは限らない。硬い部分のストレッチを念入りに

開脚ができるということは、内転筋(太ももの内側の筋肉)やハムストリングス(太ももの後ろ側の筋肉)が柔らかいということ。しかし、全身が柔らかいとは限りません。開脚はできるけれど、股関節の外旋筋が硬い、胸椎や肩関節が硬い人はたくさんいます。
1カ所が柔らかいと、そこが使いやすいためにそこばかりを使い、他の硬い部分を使わなくなるというデメリットがあります。柔らかくて使いやすい関節にストレスがかかり、こりや痛みの原因になります。
例えば、胸椎が硬いと、その上下の頸椎(けいつい)や腰椎に負担がかかり、首こりや肩こり、腰痛の原因になります。また、股関節が硬いと、その上下の腰椎や膝に痛みが出やすくなります。こういった場合、硬いところを柔らかくしない限り症状は改善しません。まず、脊椎と三大関節(肩関節、股関節、膝関節)のストレッチをしてみて、硬いところがあれば、そこを重点的に伸ばしましょう。
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