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脳活性化で体機能向上 アスリートも励む赤ちゃん返り

脳のコンディショニング術(2)

 村山真由美=ライター

 江口さんは、アスリートに指導をする際、従来のトレーニングの前のウオーミングアップに、寝返りや四つばいなど、赤ちゃんに戻るエクササイズを行い、次に、正しい姿勢で立つためのエクササイズを行っているという。

江口さんの指導でエクササイズを行うサッカーレフェリー(写真提供=江口さん)
江口さんの指導でエクササイズを行うサッカーレフェリー(写真提供=江口さん)

 つまり、まず寝ていた赤ちゃんが立てるようになるまでの発達段階のスイッチを入れ直すことでうまく立ち上がるための準備をし、その上でバランスよい姿勢を保持できる訓練をする、というわけだ。

 このうち後者の、バランスよい姿勢を保持できるようになる訓練には、通常、わざとバランスを取りにくいように作られたオリジナルのボード(マークスボード)を使用するそうだが、今回はボードを使わずに行うエクササイズを教わった。

 「あまりにも簡単なエクササイズなので、最初はみんなポカンとするのですが、正しく立てるということは、姿勢を自動制御できるということ。姿勢を保つために使っていた能力を他に回すことができるようになるため、視野が広くなったり、判断が早くなったり、崩れた体勢を素早く戻せるようになります。それが、競技のパフォーマンスアップや身体能力の改善につながるのです」(江口さん)

手の器用さアップや脳の活性化にも有効

 脳は手を使うことでも活性化する。赤ちゃんに鉛筆やスプーンなどの道具を持たせて自由に使わせることも、脳のスイッチの強化になるという。

 「赤ちゃんに鉛筆を持たせると、初めは手のひら全体で握り、ぐちゃぐちゃに書くだけですが、成長するにつれて徐々に指を使って握れるようになり、最終的に大人と同じような握り方で絵を描けるようになります。しかし、最近、こういったプロセスを飛ばして成長してしまう人が多いようで、その場合、例えばテニスでは、ラケットが器用に操れないということが起こります」(江口さん)

 こういった場合も、赤ちゃんに戻るエクササイズから始めるのが有効なのだそう。

 一方、赤ちゃんの頃に、全てのスイッチが入った人でも、神経系の機能は加齢により衰えるという。また、座りっぱなしなどの運動不足や、睡眠・食事など生活習慣の乱れも神経系の機能低下に影響を与えるという。

 「前回記事『加齢で感じる体の衰え 脳のコンディション・チェックで取り戻す』のセルフチェックで結果が悪かった人や、次に紹介する姿勢チェックで正しく立てていない人は、老化や疲労など何らかの原因で神経系の機能がうまく働いていない可能性もあります。心当たりがある人は、朝起きた時に次に紹介する寝返り、ムカデ運動、四つばいの3つを行うことで赤ちゃんの発達段階におけるスイッチの入れ直しができ、それだけで脳の活性化が期待できます。運動のパフォーマンスを上げたい人は、運動前のウオーミングアップとして、これらのエクササイズを連続して行うといいでしょう」(江口さん)

 ポイントはゆっくり、そして一定期間、毎日継続して行うことだという。

●姿勢のチェック

 耳、肩の真ん中、股関節が一直線になっているかどうかを見る。また、足の裏の指側とかかと側に均等に体重がかかっているか(足の指が浮かず、床にちゃんと着いているか)をチェックする。

 首が前に出ていたり、骨盤が後傾している人が多く、こういう人はかかとに荷重をかけてバランスを保っている。こうした姿勢の場合、重力に対して体を直立に保つために必要な、頭や首、体幹部を支える筋肉に指令を送る脳の機能が低下している可能性がある。正しく立てるようになるため次で紹介するようなエクササイズを行おう。

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