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コロナ禍での「夏のマスク生活」はここがポイント!

人との距離が十分なら外してもOK、ただし「マスクを外したら人と話さない」

 大西淳子=医学ジャーナリスト

海外のマスク事情は? 熱帯のシンガポールでは着用率が90%超

 では、同じように暑い海外の国では、マスクはどのくらい着用されているのでしょうか。英国に本社を置くインターネット調査・データ分析会社YouGovによると、6月19日時点でマスク着用率が世界一だったのは、熱帯の国シンガポールでした(*3)。同国の公共の場でのマスク着用率は2月21日時点で24%でしたが、4月17日には85%に上昇、5月22日に92%に達し、以降も高い水準を維持しています。

 シンガポールにおけるマスク着用率急上昇の理由は、4月14日から自宅外(職場も含めて)で2歳以上のマスク着用が義務化され、違反した場合は高い罰金などが科せられているからです。ただし、激しい運動中やオートバイ乗車中、医師の判断で着用が難しいとされる人などはマスクを外してもよい、とされています。

 シンガポールの5~6月の平均気温は27.8℃で、年間の平均湿度は84%にも上ります。高温多湿のこの時期をほとんどの人がマスクをつけて過ごせていたことになりますが、もともとシンガポールは熱中症が非常に少ない国だそうです。シンガポール日本人会クリニックの日暮浩実氏の記述(*4)によると、シンガポールは「暑さへの対処法が文化として習慣づいているとのこと。海からの風が入りやすい地理的条件や、街路樹の多さ、冷房の多用といった特徴に加えて、日中の暑い時間帯は屋外での活動を避け、常時水分を摂取するといった習慣が国民の身についているために熱中症が少ないのではないか、と同氏は指摘しています。

 シンガポールの高いマスク着用率は、厳しい罰則に裏打ちされたものですが、正しい熱中症予防策を実践すれば、高温多湿でもマスクの継続的な着用は可能であることも示唆しています。

*3 YouGov COVID-19 behaviour changes tracker: Wearing a face mask when in public places
*4 JOMF 一般財団法人 海外法人医療基金の派遣医師だより

WHOも方針を転換、一般人には布マスク着用を推奨

 さて、新型コロナウイルスの流行初期には、無症状の一般市民のマスク着用による感染予防効果に否定的だったWHO(世界保健機関)も、6月5日、マスクの使用についての方針を転換しました。感染が広がっている地域では、公共交通機関利用時など、十分な対人距離が取りにくい場合にマスクの使用を推奨すると発表しました(*5)

 WHOは従来通り、「健康な人が一様にマスクをすることによって、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)を含む呼吸器ウイルスの感染を予防できることを示した直接のエビデンスはない」とし、「マスク単独では予防効果は十分ではなく、マスク着用の有無にかかわらず、社会的距離の維持や、手洗いなどの感染予防策をしっかり実施することが大切」としながら、症状のない人々にもマスクの着用を推奨しています。これは、発症前の新型コロナ感染者からもウイルスが排出されている可能性が高いことに基づく方針転換です。

 WHOが一般の人に着用を推奨するマスクの種類は、「非医療用マスク(布マスクなど)」と、「ASTM(医療用マスク規格)に適合する医療用マスク(不織布を使ったサージカルマスク)」です。WHOは「COVID-19を示唆する症状がある人は医療用マスクを着用し、自己隔離し、医療機関に相談する。高齢者や、免疫機能が低下している患者、心血管疾患や糖尿病、脳血管疾患、がんなどの併存疾患を有する患者は、医療用マスクを使用してもよい。それ以外の一般の人々については、社会的距離が取りにくい場合に非医療用マスクの使用を推奨する」としています。

 なおWHOは同時に、マスク着用によって発生する可能性がある害についても述べています。汗をかきやすい夏は特に、こうした点への留意も必要です。

マスク着用によって発生する可能性のある害

  • 不適切な取り扱いによる汚染(マスクに触れた手で目をこする、など)
  • 湿った/汚れた非医療用マスクを使用し続けることによる、マスクの生地の中での細菌繁殖
  • 長時間着用によるマスクの下の皮膚トラブル(皮膚炎や、ニキビの悪化など)
  • マスク着用による安心感からの手洗い/社会的距離の維持の不徹底
  • 不適切な廃棄に起因する道路清掃担当者やゴミ収集担当者の感染リスク上昇
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