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【PR】「健康寿命」を延ばす科学的な方法

老化細胞を除去する治療、長寿遺伝子を活性化する成分に注目

薬以外の方法では、カロリー制限と食品成分のNMNに注目

山名さん 中神先生が指摘されたように、老化は病気として認められていませんが、フレイルのような状態を疾患と捉えて予防し、どうやって健康寿命を延ばすかが課題です。2013年に米科学誌『セル(Cell)』に、細胞老化、エネルギー源を作り出すミトコンドリアの機能不全など、主な老化の原因が9項目示されました。

 2020年5月末、英医学誌の『ネイチャー・レビュー・ドラッグ・ディスカバリー(Nature Reviews Drug Discovery)』に、9つの老化の原因を改善する可能性が高い薬や物質の候補がまとめられています。そこに挙がっていたのは、南野先生と中神先生も研究されている老化細胞除去薬、糖尿病の薬でもあるメトホルミン、納豆にも含まれるスペルミジン、そして、エネルギー代謝に必須な物質であるNAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)を増やすNMN(ニコチンアミド・モノヌクレオチド)などでした。

NOMON代表取締役CEOで、帝人グループ 研究主幹/ヘルスケア事業統轄補佐の山名 慶さん。プロダクティブ・エイジング コンソーシアム 代表も務める。
NOMON代表取締役CEOで、帝人グループ 研究主幹/ヘルスケア事業統轄補佐の山名 慶さん。プロダクティブ・エイジング コンソーシアム 代表も務める。

 老化を抑え、健康寿命を延ばす可能性のある物質や行為の中で、最も科学的根拠が高いのは、1930年からアカゲザルを用いた研究が始まった「カロリー制限」です。カロリー制限をするとNADが増え、エネルギーがどんどん作られるようになって老化を抑える長寿遺伝子「サーチュイン遺伝子」が活性化します。NADは生物が生きていくのに不可欠な補酵素ですが、加齢と共に血液中のNADは劇的に減少します。

健康な20~87歳の米国人男女29人の血漿(血液中の液体成分)を分析した研究では、高齢になればなるほど血漿中のNADの量が少なくなっていることがわかった。(データ:Rejuvenation Res. 2019 Apr 1; 22(2): 121-130.)
健康な20~87歳の米国人男女29人の血漿(血液中の液体成分)を分析した研究では、高齢になればなるほど血漿中のNADの量が少なくなっていることがわかった。(データ:Rejuvenation Res. 2019 Apr 1; 22(2): 121-130.)

 もう一つ、薬ではないカテゴリーで、世界的に注目されているのがNMNです。NMNはNADが生成される前段階の物質(前駆体)で、これを飲むと体内でNADに変換されます。マウスに1年間飲ませたところ、老化に伴う全身の機能低下が抑えられ、健康寿命が延びたとの研究結果が2016年に発表され、注目を集めました。NMNは野菜や種子などにも含まれますが、これまでの研究からヒトへの効果が期待されるNMNを1日250mgを摂るためには、例えばブロッコリー4000房、枝豆2万粒も食べなければならないことになります。NMNについては、近い将来、ワシントン大学で55~75歳の糖尿病と心血管疾患の女性を対象に実施されている臨床試験、そして、大阪大学医学部で身体的フレイルを伴う65歳以上の糖尿病の男性を対象に行われている臨床試験の結果が発表される予定です。

NMNをとると、エネルギーが産生され、長寿遺伝子が活性化
NMNをとると、エネルギーが産生され、長寿遺伝子が活性化
食品やニュートラシューティカル(科学的に機能が裏づけられたサプリメント)に含まれるNMNが体に入ると、短時間でNADに変換され、細胞中のミトコンドリアでエネルギーが作られると共に、サーチュイン遺伝子が活性化して老化が抑えられる。カロリー制限によってもNADが増え、サーチュイン遺伝子が活性化する。(データ:山名慶氏スライドを基に作図)

運動、糖尿病の薬も健康寿命を延ばす。老化細胞の蓄積をみる検査も

老化を抑え健康寿命を延ばす可能性のある物質としてさまざまなものが挙げられていますが、この中で、特に期待できるものはどれだと考えますか。

南野さん カロリー制限による健康寿命延長の仕組みの解明が今後も重要だと考えています。山名さんが指摘したNAD関連は期待できる経路の一つですし、カロリー制限は老化細胞の除去効果もあります。また、運動にも同じような効果がありますし、メトホルミンなど糖の吸収を抑える薬にもカロリー制限と同じような効果が期待できます。老化細胞を標的にする薬やワクチンなどの治療と、NADを増やす生活習慣や食品、薬物治療を組み合わせれば、DNAダメージの修復を促進して老化を抑え、健康寿命を延ばすことにつながるのではないでしょうか。

自分の体の中に、老化細胞がどの程度たまっているのかを、調べることはできますか。

南野さん 正に今、老化細胞がどこにどのくらい溜まっているのか、PET(陽電子放射断層撮影)で検査する方法を理化学研究所と一緒に開発中です。がんの検査として実施されているPET検査は、がん細胞に取り込まれやすいブドウ糖に近い成分(FDG)を注射し、がん細胞が全身に散らばっていないかどうかを診る検査です。それと同じように、老化した細胞の抗原にマーカー(目印)をつけることで、どのタイプの老化細胞が、どこにどの程度蓄積しているか調べられるようになると思います。

「食べ過ぎない」「運動する」「よく寝る」の重要性。健康長寿を目指すためのガイドライン作りがスタート

最新の抗加齢医学研究に基づいて、老化を抑えるカロリー制限の仕方、新しい栄養の摂り方をどうしたらいいのか、栄養士や一般の人が判断できる指針のようなものはありますか。

南野さん 日本抗加齢医学会としても、まさに実社会でカロリー制限をどうやって進めていくのかなど、科学的根拠に基づいた健康長寿を目指すためのガイドラインづくりが必要だと考えています。新型コロナウイルス感染症の影響で、6月に予定していた第20回総会が9月に延期になりましたが、その中でもガイドライン作りについて議論し、まずは、何がわかっていて何がわかっていないのか整理するところから始めたいです。

山名さん 老化研究の成果の社会実装を目指して、昨年11月、私の所属する帝人グループを中心に、フレイルに対する創薬をしている企業が集まって、プロダクティブ・エイジング コンソーシアムを立ち上げました。抗加齢医学の研究の成果で、「食べすぎない」「運動する」「よく寝ること」の重要性が高まっています。そういった生活習慣や食事のとり方も含め、年を取ることを前向きにとらえられるように、抗老化効果のある方法に関する情報を広く共有・発信していきたいと考えています。11月20日にはプロダクティブ・エイジング コンソーシアム国際シンポジウムも開催する予定です。

実際に、老化を抑えるためには、どのようなことに取り組んでいけばいいのでしょうか。先生方ご自身が実践されていることも教えてください。

中神さん ストレスはためないようにしています。自分の体調を見極め自己管理しながら、精神的なストレスをためないことが一番だと思います。

南野さん 基本的には、適切な量の睡眠をとって体内時計を乱さないようにし、必要な栄養素をとって、適度な運動をすることが重要です。それから、高血圧、糖尿病、脂質異常症など心臓病や脳血管障害を発症するリスクの高い人は、生活習慣病の改善にエビデンスがあるような薬はしっかり内服してください。

山名さん 食事は腹八分目、よく寝て毎日運動することを心がけつつも、ときには、ポテトチップやアイスクリームも食べるなどストイックになり過ぎないようにしています。老化研究の最新の知見を社会にも発信し、自分に合うものを生活に取り入れていけるようにすることが大事なのではないでしょうか。

●セミナーが以下から動画でご覧いただけます。

取材・文/福島安紀 図/増田真一 構成/黒住紗織(日経BP総研メディカル・ヘルスラボ上席研究員)

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