性行為で感染!「アメーバ赤痢」が急増中
年間1000人以上、無症状のまま感染を広げるケースも
大西淳子=医学ジャーナリスト
患者は多くが、痔や大腸がんを疑って医療機関を受診します。なかには潰瘍性大腸炎と誤診されて、何年も投薬治療を受ける患者もいます。アメ-バ赤痢はステロイド剤を投与すると悪化するため、潰瘍性大腸炎として治療されている患者に、生命にかかわる腸穿孔(腸に穴があいた状態)が生じることもあります。
腸管以外に現れる症状の代表は、アメーバ性の肝膿瘍で、肝臓に膿の固まりができます。腸管症状がないまま肝膿瘍が大きくなる場合もあります。
治療:メトロニダゾールという薬が非常に有効です。しかし、発見が遅れ、肝膿瘍が進行すると、治療は難しくなります。国内でも年間に数人がアメーバ赤痢によって死亡しています。予防:ワクチンや予防薬はありません。発展途上国では水や食べ物に注意することが重要です。国内では、一般的な性感染症予防策である、不特定多数との行為を避ける、性風俗産業の利用を控える、コンドームを使用する、体を清潔に保つ、そして、肛門への口腔性交を避けることが大切です。
・厚生労働省検疫所 FORTH 感染症についての情報 アメーバ赤痢
・感染症の話 アメーバ赤痢. 感染症発生動向調査週報(IDWR). 2002年第30週号(2002年7月22日~7月28日).