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酒は百薬の長、ではなかった。それでも飲むなら

飲むべきか、飲まざるべきか、それが問題(3)

 崎谷実穂=ライター/編集者

葉石:そういえば、アルコール依存症専門の病院を取材したときに、アルコール依存症の患者さんはみなさん痩せているな、と思いました。

小田嶋:そうなんですよ。飲みながら食べないし、飲んでないときはだいたい二日酔いだから、気持ち悪くてものを食べられない。私も依存症だった当時は、食欲はないけれど食べないと倒れてしまうかなと思って、よく駅前の立ち食いそば屋に行っていたんですよ。どうせあんまり食べられないなら安いものがいい、と思ってね。

 いつも160円くらいのかけそばを注文していました。それでも、かけそばすら全部食べられなくて残してしまう。それを繰り返していたら、ある日そのそば屋のオヤジに「食べないなら帰ってくれよ」って出禁を食らってしまったんです。

葉石かおり(はいし・かおり)
1966年東京都練馬区生まれ。日本大学文理学部独文学科卒業。ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経てエッセイスト・酒ジャーナリストに。全国の日本酒蔵、本格焼酎・泡盛蔵を巡り、各メディアにコラム、コメントを寄せる。2015年に一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。

葉石:立ち食いそば屋で出禁ってあるんですね(笑)

小田嶋:そのオヤジにしたら、ケンカを売りに来ているように見えたんでしょうね。毎朝来て、何口かだけ食べて、残して帰るから。でも、当時はどうしても食べられなかったんです。

葉石:壮絶ですね……。浅部先生、休肝日を設けるのはどうなんでしょう。効果があるのでしょうか。

浅部:そうですね、依存症になるのを防ぐことを目的とするならば、それだけではあまり効果がないかもしれません。休肝日を設けているから大丈夫だと思って、他の日に大量に飲酒していたら元も子もないですよね。ただ、毎日飲むよりは量を減らせる、という点では、意味があるでしょう。

ドリンク剤に漢方薬、本当に効く?

葉石:酔いすぎないためには、どういうものを食べたらいいんでしょうか。よく、牛乳を飲んでから飲み会に行くといい、と言われたりしますよね。

浅部:アルコールの吸収をゆっくりさせるためには、胃になにか入れておいたほうがいいというのはあります。でもそれだったら、牛乳より固形物のほうがいいと思いますよ。

小田嶋:あの、ウコンが入っているドリンク剤みたいなのはどうですか。CMなどでは事前に飲むといい、と宣伝されていますよね。

浅部:ウコンはむしろ、取りすぎると一部の人は肝臓が悪くなってしまうんですよね。なので私は、ウコンは積極的に摂取しましょう、とは勧めていません。でも、ああいうドリンク剤にはそんなに大量にウコンが入っているわけではないので、害が出たというのは今のところ聞いたことありませんね。

 ドリンク剤に効き目があるかといわれると……、正確にはわからないですね(笑)。若干、炎症を抑える作用はあると思うので、二日酔いの気持ち悪さを抑える、ということは期待できそうです。

小田嶋:肝臓の絵が書いてあるドリンク剤はどうでしょう。ヘパなんとか、みたいな。

浅部:固有名詞は出さずにいきましょうか(笑)。どうなんでしょうね、はっきりとはわかりませんが、ああいうドリンク剤はアミノ酸などが多く入っているので、飲んで悪いことはないと思います。ドリンク剤やサプリメントは、もともとその成分が足りてない人には効くんですよ。食事から十分にアミノ酸が摂れている人は、そこまで効果を実感できないかもしれません。

葉石:私は五苓散(ごれいさん)という漢方薬を飲み会の前に飲んでいます。飲むと、二日酔いにならない気がするんですよね。

浅部:うーん、漢方薬がお酒の分解にどう影響するかは、私にはわからないですね。でも、漢方の中には炎症を抑える成分が入っているものが多いので、すっきりはするかもしれません。あと、胃を保護する効果は期待できるかと。

 しかし、私はむしろ「薬物性肝障害」といって、薬やサプリの摂取しすぎで肝臓が悪くなった人を、かなりの数にわたって診てきました。その人たちのなかには、漢方薬が原因だった人も何人かいました。

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