酒を断つには、趣味も人間関係もリセットするしかない
飲むべきか、飲まざるべきか、それが問題(2)
崎谷実穂=ライター/編集者
生活習慣は、依存でなりたっている
小田嶋:生活習慣というものは、何かしらの依存でなりたっているんですよね。その依存していたものがなくなる、というのは、すごく大きな喪失感があることなんです。
葉石:その喪失感を乗り越えなければいけない。

小田嶋:例えば、ある女性と5年付き合っていたけれど、別れてしまったとする。その5年間で、どこか行くなら一緒に行ったり、夜は電話したりと、習慣になっていたことがいろいろあるわけですよね。それがいきなり全部なくなってしまうと、どうしていいかわからない。だからもうそんなに好きじゃなくても、つい電話してしまったりするわけです。
生身の女性が相手なら、「もう電話してこないで!」って言われたり、そもそも電話に出てもらえなかったりする。そうして、だんだん彼女がいない状態に慣れることができます。ところが酒は、いったん別れても、飲もうと思ったらたった200円で、いつでもとんできてくれるんですよ! そんなやつと、どうやって別れられますか。
葉石:200円で気分も良くしてくれるし(笑)。これ以上のパートナーはいない、と。
小田嶋:本当は最低価格をビール1本2000円とか、ウイスキー1本2万円とかにしたほうがいいんでしょうね(笑)
(写真:鈴木愛子)