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アルコール依存症の人は、頑なに依存症だと認めない

飲むべきか、飲まざるべきか、それが問題(1)

 崎谷実穂=ライター/編集者

お酒を飲む人にとって他人事ではないけれども実態はよくわからない「アルコール依存症」。最近では、酔っ払って問題行動をとった某グループのメンバーが、アルコール依存症ではないかということが話題になりました。果たして、依存症にならずに健康的にお酒を飲むにはどうしたらいいのか。「元アル中」コラムニストで『上を向いてアルコール』の著者・小田嶋隆さん、酒ジャーナリストで『酒好き医師が教える最高の飲み方』の著者・葉石かおりさん、同書の監修者である肝臓専門医の浅部伸一さんが語り合います。

第1回

アルコール依存症の人は、頑なに依存症だと認めない

第2回

酒を断つには、趣味も人間関係もリセットするしかない

第3回

酒は百薬の長、ではなかった。それでも飲むなら


依存症は、何年断酒しても完治しない

小田嶋隆(おだじま・たかし)
1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、小学校事務員見習い、ラジオ局ADなどを経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。近著は『上を向いてアルコール』

葉石かおり(以下、葉石):浅部先生は肝臓が専門の医師ですが、ご自身も酒好きで、プロフィールには「好きな飲料はワイン、日本酒、ビール」と書かれています(笑)。そんな浅部先生に「アルコール依存症」という呼び方について、まずお伺いしたいと思います。これって、昔は「アルコール中毒」、通称「アル中」と言われることが多かったのではないでしょうか。

浅部伸一(以下、浅部):そうですね、中毒というのは、毒性のある物質で身体に障害が起こったり、病気になったりすることを指します。だから今でも、アルコールを短時間にたくさん摂取した結果、倒れてしまったりするのは「急性アルコール中毒」と呼んでいます。

 一方で依存症というのは、毒物そのものの害というよりも、ある物・ことをやめたくてもやめられない精神状態になることです。

小田嶋隆(以下、小田嶋):私もかつてアルコール依存症になり、その後20年にわたって断酒しているのですが、かつての主治医は、「アルコール依存症のほうが医学的には正しいけれど、その言い方は患者を甘やかすことになるから好まない」と言っていましたね。

 「依存」というと「病気で苦しんでいるかわいそうな人」みたいなニュアンスが出てしまう。いや、病気なのは確かなのですが、それで本人が「病気だから飲んじゃうんだよね」と思っていたら絶対治らない。だからあえて、「アル中」と言っていたそうです。

葉石:厳しい先生ですね……!

小田嶋:その先生は、「アル中を克服する」という言い方も間違っていると言っていましたね。いったん依存症になった人は、何年酒をやめていようと、それは坂道の途中でボールが止まっているような状態なのだと。頭の中には「飲み出したらやめられない回路」がしっかり組み込まれているから、断酒後何年たっても、一度飲んでしまったら、ボールはごろごろと坂を転げ落ちていく、と言っていました。

 「元アル中患者」は、1杯目を飲まないで我慢することはできるんですよ。でも、もし1杯目を飲んでしまったあとに2杯目を我慢することは、絶対にできません。

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