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アルコール依存症の人は、頑なに依存症だと認めない

飲むべきか、飲まざるべきか、それが問題(1)

 崎谷実穂=ライター/編集者

浅部:私の専門は肝臓病学で、肝臓を悪くして来る人の多くはアルコール依存症でした。彼らは「このまま飲み続けると死にますよ」と言っても、お酒を「やめます」とは言わない。「減らします」というんです。でも小田嶋さんの言う通り、むしろ減らすほうが難しいんですよね。

葉石:アルコール依存症の方は、自分が依存症だということを認めない、というお話を聞きました。「否認の病」である、と。

葉石かおり(はいし・かおり)
1966年東京都練馬区生まれ。日本大学文理学部独文学科卒業。ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経てエッセイスト・酒ジャーナリストに。全国の日本酒蔵、本格焼酎・泡盛蔵を巡り、各メディアにコラム、コメントを寄せる。2015年に一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。
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小田嶋:そうなんですよ。これって、性格が曲がっているから否認するとかそういうことじゃない(笑)。おそらく、アルコール依存症という病気のメカニズムのひとつなのだと思います。

 私は30代になって自分の飲み方はやばいな、と思い始めたときがありました。例えば、飲みまくった次の日、知らない場所で目を覚ますことが増えるとか。起きたら身に覚えのないケガをしているとか。

葉石:うっ……、たまにありますね。

自分が依存症ではないという証拠を集めようとする

小田嶋:そういうことが続くと、自分の飲み方はやばいんじゃないかと思うわけです。でも、そこからさらに飲んでいると「俺は大丈夫だ、アル中じゃない」という自覚に変わるんですよね。不思議なことに。

(一同笑い)

葉石かおり著、浅部伸一監修『酒好き医師が教える最高の飲み方

小田嶋:ここまで来ると、症状が確定している状態ですよね。そして、どんどん自分がアルコール依存症ではない、という証拠を集め始めるんです。例えば「先週月曜日は飲まなかった」とか。火曜から日曜までは飲んでいるんですけど、「アル中だったら、毎日飲まずにいられないはずだ。1日飲んでいない俺は、アル中ではない」と考える。でもそれは、単に体調がわるくて飲めなかっただけなんですけど。

葉石:二日酔いがひどくて飲めない、ということですか?

小田嶋:いや、もう二日酔いどころじゃなくて、水も何も飲めない状態になるんです。何を口に入れても吐いてしまう。だから、点滴をうってもらうしかなくなるんです。私は1993年から95年くらいまでは、月に1~2回は点滴うちに病院に行っていましたね。でも、そんな状態でも「飲んでない日があるから大丈夫」って思うんです。

葉石:そこまでいっても、認めたくないんですね……。

小田嶋:もし、かつては「俺、飲みすぎてやばいよね」みたいに笑っていた人が、あるときから「俺はいつでも酒をやめられる」「全然飲みすぎてないから」なんて真面目な顔で言い出したら要注意ですよ。

葉石:それまでと、認識が変わってしまうのはこわいですね。

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