無理な開脚・寝起きの前屈…やってはいけないストレッチ
整形外科専門医·中村格子さんに聞く(1)
村山真由美=ライター
ストレッチは体の柔軟性を高めるなどの利点があるが、実は間違ったストレッチにより筋肉や関節を痛める人は案外多い。そこでストレッチを行う際の注意点について、整形外科専門医でスポーツドクターのDr.KAKUKOスポーツクリニック(東京・代官山)院長、中村格子さんに聞いた。

私のクリニックにも、ストレッチをやっていて体を痛めたと来院される方は少なくありません。最近目立つのは、体が硬いことに罪悪感や劣等感があり、ペターッと開脚できる体に憧れて無理をしてしまったという人。また、ヨガなどで痛みを我慢しながら無理な姿勢を続けたせいで、終わった後に痛みが出たと来院される人もいます。

…というわけで、これまでの診察経験などを踏まえると、ストレッチの際に気を付けるべきことの一つは「痛みを感じるほど無理に伸ばさない」ということです。そのほか、朝起きたばかりの体が温まっていないときにいきなり前屈をしたり、ひどい筋肉痛のときにストレッチをしたりするのも良くありません。
× 痛みを感じるほど、無理に筋肉を伸ばさない

筋肉はある程度引っ張られている感覚がなければ柔らかくはなりませんが、無理に伸ばすと筋断裂(肉離れ)を起こすことがあります。昔は、ストレッチは痛いほうが効果があると言われていたこともあり、特に50代以上の方は無理をしがちです。
しかし、無理に伸ばすのはご法度。では、どのくらい伸ばせばいいかというと、痛みを10段階で表現し、10が想像できる最大の痛み、8、9が涙が出るほどの痛み、5が顔が歪むほどの痛みだとすると、ストレッチに適した痛みは2、3くらい。これは「笑って我慢できる程度の痛み」です。
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