女性更年期を乗り切るコツ、運動やサプリも取り入れて
ストイックに自分を追い込んでしまう人は要注意!
梅方久仁子=ライター
誰でも時期がくれば経験する更年期。人によって違いはあるが、女性では約9割がなんらかの不快な症状に悩むという。「病気じゃないから」と軽く見るのはちょっと待って。中には仕事が続けられなくなるほど具合が悪くなる人もいる。
この時期、体に変調を感じたら、どうすればいいのだろうか。横浜市立大学附属市民総合医療センター・女性ヘルスケア外来専任医師で、よしかた産婦人科副院長の善方裕美さんに話を聞いた。
更年期とは、ホルモンのゆらぎの時期

更年期とは、閉経の前後5年ずつの10年間をいう。日本人女性の閉経は平均50歳くらいなので、だいたいは45歳から55歳くらいになる。
更年期では、卵巣から分泌される女性ホルモン(卵胞ホルモン:エストロゲン)の量がだんだん減ってくる。すると、エストロゲンが減っていることを感知した脳の視床下部が脳下垂体に性腺刺激ホルモン(卵胞刺激ホルモン:FSH)を出すように指令を出す。
脳下垂体から出たFSHが卵巣に到達して、うまく卵巣が反応すればどっとエストロゲンの量が増え、うまく反応しなければ、視床下部はエストロゲンを増やそうとして、さらにFSHを出す。これが繰り返され、視床下部が焦ってがんばるうちに、同じ視床下部が関わる自律神経が影響を受け、バランスを崩してしまう。また、エストロゲン量の大きなゆらぎに、体がついていけなくなる。
こうして全体に体の調子がおかしくなった結果現れる不快な症状が、更年期症状だ。そして、更年期症状が生活に影響が出るほどひどくなったものを、更年期障害と呼ぶ。
症状は幅広く、現れ方は個人によって千差万別で、体全体の調子がおかしくなってくる。あらゆる不調が起こる可能性があるといってもいいだろう。
特に閉経前のプレ更年期には、だるい、眠くなる、月経が乱れる、イライラする、気分が落ち込むといった症状から始まることが多い。更年期症状なのか、ただの疲労か、それとも他の病気なのかが、わかりにくいところが問題だ。
つらいと思ったら我慢せず受診を
「更年期症状は、とても主観的なものなんです。普通の病気では、血液検査とか、画像診断とか、客観的なデータで判断することが多いですよね。でも、更年期障害ではそうはいきません」と善方さんは言う。
血液中のホルモン濃度を測ることはできるが、ゆらぎの時期なので、エストロゲンの値は日によってまちまちだ。FSHが高めだと、そろそろ更年期だと言えるが、症状の重さやつらさは、単純にFSHの値で決めることはできない。
「ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)で大汗をかいていてもあまり気にしない人がいれば、傍目にはそれほど重い症状に見えなくても、すごく深刻につらさを感じる人もいます。症状がどのくらい重いかではなく、そのために仕事や生活ができなくなってしまうか、本人がつらいと思っているかという見極めが必要です」(善方さん)
婦人科を受診すれば、他に婦人科の病気がないかを調べた上で、月経の状態などから更年期症状かどうかを判断してくれる。必要に応じて他科の受診を勧めたりもしてもらえるので、総合的な相談先として利用するとよいだろう。
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