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「失敗に負けない」メンタルはこうして鍛える

格闘技界のチャンピオンメーカー・古家政吉さんに聞く【後編】

 茂田浩司=ライター

敗因をその場ではっきり指摘し、改善策を伝える

それは、傷口に塩を塗るようなことになりませんか?

古家 敗因を指摘された選手はショックを受けるでしょう。もし、私がその場で「お前、もうダメだよ」と言えば、絶望して辞めてしまうかもしれません。

 そこで大事なことは、敗因を指摘するだけでなく、「だから、これからの練習ではここをこう改善しよう」と改善策を出すことです。「お前のポテンシャルなら、ここを改善したらもっとできるはずだ」と。負けた直後に、その場で改善策が出せるかどうかが、トレーナーの手腕だと思っているんですよ。

 「そっとしておく」や「気休め、慰めの言葉を掛ける」だけでは何も変わらないですし、敗戦のショックを受けたままで家に帰してしまうのは一番やってはいけないことです。立ち直るまでに長い時間が掛かってしまいます。

 格闘家のピークはせいぜい5、6年。その間にタイトルを取り、防衛し、メディアにもどんどん出て知名度を上げて、引退後の第二の人生を充実したものにしなくてはいけません。そのために、現役時代は1分、1秒を惜しんで、強くなるためのトレーニングをしないといけないんですよ。敗戦のショックをいつまでも引きずっているわけにはいきません。

なるほど。

古家 これはビジネスシーンでも共通するポイントだと思いますが、失敗して、落ち込んでいるヤツが一人であれこれ考えたところで、「次はこう改善しよう」なんて考えられないですよ。ショックが大きすぎて「あの時にこうしていればよかった」と、つい過去ばかり振り返ってしまう。

 ですから、私はすぐに選手と改善策を話し合います。負けた直後の選手には酷なことですが、暗闇の中に放置してはいけないんです。「何がいけなかったのか?」「どこが悪くて負けたのか?」と頭の中でグルグルと考える時間を少しでも短くして、冷静に「次はこう改善しよう」と前を向かせてあげるのがトレーナーの仕事です。

切り替えが上手くいかない選手はいますか?

古家 いますね。私の知る選手は、負けて1カ月間家に引きこもりました。信頼できるトレーナーもそばにおらず、敗北のショックを一人で抱え込んで、なかなか立ち直れなかったのです。

 私は、負けた選手には「まず、周りの人に感謝しなさい」と伝えます。敗北のショックで「負けた。ダメだ」と目の前の結果だけしか見えなくなっている状態なので、少し視野を広げてみるように促すのです。

 そうすると、試合までに協力してくれた仲間や家族の存在に気づきます。いろんな人が協力してくれたからこそ試合ができたわけで、結果よりもまず「試合をするまでの過程」に感謝しなければいけない、ということを思い出すのです。

 そうして試合までの過程を振り返ることで「結果が出なかった。俺はダメだ」としか考えられなかった頭の中が少しずつ整理されて、冷静に周りを見ることができるようになります。その状態になると「この悔しさを晴らすために、次は試合に臨むまでの練習をどうしようか? どこを改善しようか?」と前を向けるようになります。

「失敗した!」とパニックになった頭の中を整理してあげる。そうしたコーチングをするんですね。

古家 そうですね。敗北という結果だけを見ていても落ち込むだけで、何も解決できません。そんな状態で「そっとして」おかれても、結果を引きずってしまうだけ。もし、この記事を読んでいるビジネスパーソンが、部下が大きな失敗をして落ち込んでいるときは、ただ見守るだけではなく、「次にチャンスをつかむために、何をどう改善していけばいいか」を冷静に助言してあげてほしいと思います。

敗戦した直後の選手をそっとしておいても、立ち直りが遅くなるだけ。(c)Wavebreak Media Ltd-123rf
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