男性と女性、実際はどちらが痛みに強い?
痛みを感じたときに「我慢する」のは女性より男性
伊藤左知子=フリーライター
「長く続く痛みに対する対処」に関する男女の共通点
長く続く痛みに対する意識や行動は男女で若干異なる傾向がみられたが、男女共に共通して分かったのは、長く続く痛みを抱えていても、多くの人が病院に通院していないという現状である。
アンケート調査から、長く続く痛みを抱える人のなかで、痛みの強さが3以上ある人でも、現在病院に通院している人は3割にも満たないことが分かった。実は、痛みの強さを11段階で評価して(0:まったく痛みはない、2:ほんの少し痛い、4:少し痛い、6:痛い、8:かなり痛い、10:想像を絶する最悪の痛み)、3以上ある痛みは治療対象とする国際的な指針が出ているのだが、現実には、多くの人が治療すべき痛みを我慢しているのである。
順天堂大学医学部麻酔科学・ペインクリニック講座教授の井関雅子さんは、「アンケート調査から、女性の方が痛みに強いという通説が、男女共に支持されていることが分かりましたが、実際には、女性は早期の段階であれこれと自己対処して、男性のほうがむしろ痛みを我慢していることが分かりました。ただ、全体的に病院に行く人は少なく、さらに女性の場合、様々な人に相談したり、口コミを重視するあまり、情報に振り回され、正しい対処(専門家の診断)に辿りつくまで遠回りしている可能性もあります」と警鐘を鳴らす。