日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > ダイエット・食生活  > トピックス  > 「食事摂取基準」最新版から見えた「日本人の栄養摂取の課題」  > 2ページ目
印刷

トピックス

「食事摂取基準」最新版から見えた「日本人の栄養摂取の課題」

「筋肉量・骨量を保つ食事」を重視、たんぱく質・ビタミンDを増やす

 日経ヘルス

骨の健康を保つのに必要なビタミンDの目安量を増やす

 瀧本さんが女性やその家族にとって重要な改定のポイントを挙げたのが下表だ。例えば、ナトリウム(食塩相当量)については、調査の結果、世界的にも多い日本人の摂取量が減っている傾向が見られた。しかしWHO(世界保健機関)が示した循環器疾患の予防に必要な1日の目標量5g未満とは差があり、「より頑張って」というメッセージを込めて引き下げられた。

 また、調査から若い世代は高齢者と比較して野菜や果物、魚介類の摂取量が少なく、動物性脂肪の摂取量が多いことがわかり、それが将来の生活習慣病のリスクにつながると考えられた。その改善を促すために飽和脂肪酸、コレステロール、カリウムの改定を行った。

 このほか骨の健康を保つのに必要なビタミンDの目安量を増やすとともに、その脚注では過度な紫外線対策をしがちな女性を念頭に、適度に日光を浴びることの必要性も訴えている。

成人女性や子どもの健康に関わる改定ポイント
増えたもの

たんぱく質

(たんぱく質維持必要量 *1)

男女共全年齢区分
0.65→0.66(g/体重・kg/日)

筋肉量の低下は高齢者のフレイルの原因になるだけではない。とくに若い女性のダイエットによるたんぱく質不足は生活習慣病のリスクを高める。毎日の食事でたんぱく質の摂取を心がけたい。

ビタミンD

(目安量 *2)

18歳以上
5.5→8.5(μg/日)

骨密度を高め閉経後の骨粗しょう症の発症予防につながるビタミンD。日照により皮膚でビタミンDが産生されることを踏まえ「脚注」では「ビタミンD摂取においては日照時間を考慮に入れることが重要」と補足された。

新設

飽和脂肪酸

(目標量)

3~14歳
10(%エネルギー)以下(新たに設定)

動物性の脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸のとり過ぎは心臓血管疾患のリスクを高める。子どものうちから魚などに含まれるn-3系、n-6系脂肪酸をバランスよくとる習慣を促すために定められた。

コレステロール

(目標量)

男女共全年齢区分
200mg/日未満(新たに脚注に記載)

日本人に脂質異常症が増加している。重症化すると心臓血管障害のリスクを高めるため、とり過ぎに注意する必要がある。今回は、飽和脂肪酸の項目の脚注として記載された。

カリウム

(目標量)

3~5歳 1400mg/日以上(新たに設定)

野菜や果物に豊富に含まれ高血圧の予防効果もあるカリウム。日本人では高齢者ほど野菜をたくさん食べ、逆に若年層の野菜不足が指摘されている。家庭の食生活改善を促すため設定された。

減ったもの

ナトリウム

(目標量 *3)

女性 7.0→6.5(食塩相当量・g/日未満)

改定のエビデンス(科学的根拠)となった調査では、日本人のナトリウム摂取量は低下傾向にあるが、それでもWHOが提唱する目標量5g未満/日とは差があるので、さらなる減塩に取り組みたい。

記載した食事摂取の基準値の種類について
*1「たんぱく質維持必要量」:健康を維持するために必要なたんぱく質の栄養素としての量。肉や魚など食品の量ではない。
*2「目安量」:(ある性・年齢階級に属する)人々が、良好な栄養状態を保つために十分な量。不足による問題が見られない集団において習慣的に摂取されている量の中間値として算出された。
*3「目標量」:生活習慣病の一次予防のために現在の日本人が当面目標とすべき摂取量、またはその範囲。

 食事摂取基準は食品ではなく栄養素の量で示しているので、一般の人が日常の献立作りに役立てるのは難しい面もある。瀧本さんは「知りたいことがあれば地域の保健センターの管理栄養士などに相談してほしい」と話している。

(取材・文:荒川直樹)

この記事は「日経ヘルス 2020年4月号」からの転載です。

日経ヘルス 2020年6月号(最新号)

≪大特集≫

肌が輝き、免疫力も高める【老けない人のおうち習慣7】

ながらで行うだけの、老けをよせつけないテクニック

≪第2特集≫

【新型コロナウイルス予防術】

感染しない、させないための対策法がわかる!

≪第3特集≫

ゆらぎ肌のお守り的存在! 【ワセリン美容術】

ひとつあれば顔から全身まですべてしっとり

≪特別冊子付録≫

「鍼灸の知恵とヨガを融合 効果を高めた最新メソッド「経絡ヨガ」ポーズ図鑑」

「日経ヘルス 2020年6月号」
瀧本秀美(たきもと ひでみ)さん
国立健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部長
瀧本秀美(たきもと ひでみ)さん 医学博士。栄養疫学の専門家として「日本人の食事摂取基準」の改定や「国民健康・栄養調査」に携わる。「今回は大きな変更はありませんでしたが、将来妊娠を考えている女性は葉酸(1日当たり400μg)をサプリメントなどで補ってほしいです」。

先頭へ

前へ

2/2 page

筋肉
キーワード一覧へ

RELATED ARTICLES関連する記事

ダイエット・食生活カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 怖い病気を招く「中性脂肪」を食事・運動で徹底対策!

    健康診断でもおなじみの項目である「中性脂肪」。血液中の中性脂肪が150mg/dLを超えると、脂質異常症の1つ、「高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)」と見なされる。血管の老化を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞を遠ざけるためにも、中性脂肪が上がるのを避けなければならない。そこで、今回はやっかいな中性脂肪の正体や、食事や運動でできる鉄板の対策法を一挙紹介していく。

  • 長年の悩み「腰痛」を解消! 痛みを和らげる体操4選

    腰痛は日本人の国民病とも言える身近な症状だ。特に問題なのは、原因がはっきりしない、「なんだか知らないけど、いつの間にか…」始まってしまう「慢性腰痛」だ。長年にわたって慢性腰痛で悩む人は少なくない。そこで、今回は長引く腰痛の解消が期待できる体操を一挙紹介する。

  • 怖い緑内障 忍び寄る失明を回避するには

    緑内障は放っておくと失明を招く怖い病気だが、病気が進んでも中心部の視力は保たれるため、自分ではなかなか気づきにくい。本記事では、緑内障による失明を回避するために知っておきたい期症状の特徴や、早期発見のために必要な検査、最新治療などについてコンパクトに解説していく。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2022 Nikkei Inc. All rights reserved.