梅雨から注意!身近なカビが引き起こす怖い感染症、その対策
最新の研究成果から導く“梅雨カビ”対策のポイント
伊藤和弘=フリーライター
カビ掃除の穴場ポイントはどこ?
ではカビによる感染症を防ぐには、どんなことを心がければいいのだろう? 「まず、禁煙。タバコは肺の老化を進め、免疫力を落としてしまう。できるだけカビを吸わないためには家の掃除が基本。カビが発生しないように、衛生的な環境を保ってほしい。血たん、発熱、しつこい咳など気になる症状が出たら、早めに呼吸器内科やアレルギー科を受診するように」と亀井教授はアドバイスする。
テレビなどで「カビ博士」として活躍する衛生微生物研究センターの李憲俊所長によると、家の中でカビが繁殖するのは、主に「水が溜まる場所」「通気性が悪くて湿気がこもる場所」「結露ができる場所」の三つ。その条件をすべてそろえている「浴室」は、家の中で最もカビが発生しやすい場所といえる。中でも見落としがちなのが結露のできる天井だろう。
「壁や床に発生したカビは目に付きやすいし、胞子が空中に飛ぶこともない。一方、天井のカビは目に付きにくい上、胞子をまき散らすのが問題」と李所長は話す。
せっかく苦労して壁や床に生えたカビをこすり落としても、天井のカビを放っておけば、やがて胞子が落ちて再びカビが増殖してしまう。カビ退治のポイントは天井にあったわけだ。
天井の掃除は大変だが、例えば柄の長いモップを使う方法がある。また、銀イオンを使った「くん煙剤」なども市販されている。これらを使えば、意外と手間もかからない。
「カビは高温が苦手で、気温が30℃を超えると生えにくくなる」と李所長。気温が手頃でジメジメした梅雨の時期は、一年中でもっともカビが発生しやすい季節だ。見た目の問題だけではなく、感染症やアレルギーを防ぐためにも、浴室や台所を清潔に保つことを心がけてほしい。
(写真提供:千葉大学真菌医学研究センター 亀井克彦教授)
千葉大学真菌医学研究センター 教授

衛生微生物研究センター 所長
