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「新型コロナウイルスは夏に弱い」というのは本当か

実験室では「高温多湿」と「紫外線」が感染力を弱めるが、現実世界では?

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 しかし、6月中旬頃から再び日本各地で新型インフルエンザの患者が増え始め、8月ごろになると、例年であれば12月ごろにみられる、流行シーズンに入ったような発生状況となりました。そのまま患者は増加し続け、12月に入り、ようやくピークを越えて減少傾向となったのです。

 流行の開始が早かった沖縄県では、夏休みに入る頃から感染者が急増しました。その他の県では、夏休みの間は緩やかに増加し、11月に向けて急増しましたが、年明け以降、すなわち、例年、季節性インフルエンザの流行が拡大するころには、感染者は大きく減少しています。

 新型インフルエンザに対するワクチンの接種が国内で始まったのは10月下旬でした。年明け以降の感染者の減少には、それまでに感染した人と、予防接種を受けた人による免疫の獲得が関係していると考えられます。

 こうして新型インフルエンザは夏から秋にかけてパンデミックを引き起こし、翌年以降、季節性インフルエンザとして冬に流行するようになったのです(図1)。

図1 インフルエンザの流行状況(2002年~2012年)
A型とB型を合わせたインフルエンザ患者数の推移。新型インフルエンザがパンデミックを起こした2009年だけが、流行のピークが秋にずれていた。(出典:感染症発生動向調査週報〔IDWR〕)
[画像のクリックで拡大表示]

 日本において、新型インフルエンザが、A型インフルエンザウイルスの特性を反映する感染状況を示す(冬に流行する)ようになったのは、一定以上の人々が免疫を獲得してからでした。ウイルス自体は夏に弱くても、2009年の夏には、免疫のない人に容易に感染し、患者を急増させていました。新型コロナウイルスも同様に、気温や湿度の上昇に弱い性質を持ってはいるものの、まだ免疫を持たない人々を中心として夏に感染が拡大し、流行の第二波、第三波を生じさせる可能性があります。安全で有効なワクチンが利用できるようになるまでは、引き続き手洗い、咳エチケット、三密(密集・密閉・密接)回避といった感染予防対策をしっかりと実行していく必要があるでしょう。


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大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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