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「新型コロナウイルスは夏に弱い」というのは本当か

実験室では「高温多湿」と「紫外線」が感染力を弱めるが、現実世界では?

 大西淳子=医学ジャーナリスト

2009年の新型インフルエンザは夏に流行が始まった

 では、これから実際に、夏に向けて新型コロナウイルスの勢いが弱まるのかどうか、その参考事例として、2009年に発生した新型インフルエンザの流行状況を振り返ってみたいと思います。あのときには、それまでブタの間で流行していたA型インフルエンザウイルス「A(H1N1)pdm09」が人に感染し、人-人感染が広がったことにより、世界各国で多くの感染者と死者が出ました。

 A型インフルエンザウイルスは、コロナウイルスと同様に、高温多湿に弱く、低温で湿度が低い環境を好むことが以前から知られています。古典的な実験ですが、現在でもそのデータがよく引用されるG. J. Harper氏の実験結果(*5)を表2にまとめました。

表2 空気中でのA型インフルエンザウイルスの生存率
温度相対湿度1時間後6時間後23時間後
7.0~8.0℃23~25%78%63%61%
51%61%42%19%
82%70%35%3%
20.5~24.0℃20~22%64%66%22%
50~51%29%4.2%*
81%13%5%0%
32℃20%45%17%1.3%
49~50%13%0.7%0%
81%6.6%*0%

* :感染力のあるウイルスは存在していたが、量が少なすぎて測定できず
(データ出典:Hyg Camb. 1961;59:479-486.)

 この実験では、回転し続けるステンレスドラムの中にエアロゾル状態で封入したA型インフルエンザウイルスが、各環境下でどの程度感染力を維持しているかを検討しました。その結果、高温多湿だとA型インフルエンザウイルスは速やかに感染力を失いましたが、逆に低温で湿度が低い、真冬のような環境では、長い間感染力を維持していました。この特性は、北半球でインフルエンザが冬に流行することとよく一致します。

 ところが、日本における新型インフルエンザの主な流行は、夏に始まりました。国立感染症研究所感染症情報センターのまとめ(*6)によると、わが国では、2009年5月9日に成田空港で最初の患者が検知され、その後、関西地方のいくつかの高校などで集団感染が発生しました。地域での学校閉鎖や濃厚接触者の自宅待機などの対策が行われた結果、一般社会への広がりはかなり抑えられ、ウイルスはいったん消え去ったとみなされました。

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