2回に分けてお送りする「ダイエットに失敗しない脳のクセ攻略法」。前編の「『食べてはいけない』と思うほど、食べたい“動物脳”が暴れる」では、“脳のクセ”に詳しい篠浦伸禎医師に、食べたい気持ちをガマンするタイプのダイエット法がなぜ失敗しやすいかを教えてもらった。後編では、“脳のクセ”に振り回されずにダイエットを習慣化する様々な方法を、最新の医学研究を基に紹介する。
どんなダイエット法も、とにかく続けることができればやせられる。しかし、前回の記事「『食べてはいけない』と思うほど、食べたい“動物脳”が暴れる」で解説したように、ガマンや根性が要求されるダイエットは失敗する。“脳のクセ”を考えると、意識しなくても食べる量が減らせて、自然と動きたくなるような、やせる習慣が身につくのが理想。
だが、ロンドン大学のラリーらの研究によれば、ダイエットを習慣化するのに必要なのは、「66日間続けること」。それには、自分をコントロールする“脳の力”が欠かせない。
長期的な目標達成のための「脳の力」ウィルパワー
心理学の分野では、この「長期的な目標達成のために、短期的な誘惑に抵抗する」脳の力を「ウィルパワー(will-power)」と呼び、スタンフォード大学の健康心理学者、ケリー・マクゴニガル氏などが研究している。
「ウィルパワー」の特徴は、体力と同様、消耗することだという。誘惑と闘う、やりたくないことをする、判断や決断を迫られる、不安や恐怖感にさらされるなどのほか、睡眠不足でも、ウィルパワーは低下する。
「部屋や机の上が散らかっていると太る」といわれるのも、何かに集中したいときに関係のないものが目に入ることで集中力が分散して、誘惑に負けやすくなるからだという。