「ダイエットは食事が9割」といわれるが、「食欲をガマンする」のは、人間の「脳のクセ」を考えると、実はとても過酷な戦いであることが分かってきた。
今回から2回に分けてお送りする、「ダイエットに失敗しない脳のクセ攻略法」。まずは、“脳のクセ”に詳しい都立駒込病院脳神経外科の篠浦伸禎部長への取材から、ダイエットに成功するための脳のクセ攻略法を探った。
「食欲や性欲など本能にかかわる欲求は、“動物脳”によるもの。非常にエネルギーが強く、生存を脅かすようなストレスがかかると暴走しやすい。この“動物脳”をコントロールするには、知識や情報を冷静に処理して判断する“人間脳”を適切に働かせるアプローチが必要」と、脳神経外科医で、脳のクセに詳しい篠浦伸禎さんはいう。
ダイエットで結果を早く出そうとして食事を急に減らしたり抜いたりするとますます食べたくなるのは、動物脳が暴走している状態。食事量を少しずつ減らす、血糖値が急激に上がらない食事に変更するなど、“動物脳”にかかるストレスが小さいダイエット法を選ぶほうが、「食べたい」気持ちは抑えられる。
「食べたい」という“動物脳”の働きに対して、「食べるべきではない」という“人間脳”の判断とのどちらを実行するかをコントロールしているのは、「大脳辺縁系と大脳新皮質の間にある、帯状回(たいじょうかい)という部分。脳全体の“司令塔”として自我と強く関係し、集中力や気づき、洞察力などもここの働きによるもの。大人になるにつれて徐々に発達するが、使い方によってさらに鍛えることもできる」(篠浦さん)。