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広がる新型コロナ変異株 その怖さの正体とは

既にワクチンを接種した人も感染予防策は必須

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 世界各国で、新型コロナウイルスの変異株が急速に広がっています。感染性の強さや病原性の強さ(重症化リスクの高さ)、既存のワクチンの有効性などについて、さまざまな懸念の声も聞かれます。本記事では、これまでに報告されている変異株の特徴などの情報をまとめてご紹介します。

急速に広がる新型コロナウイルスの変異株は、何が怖いのか。現時点での情報をまとめました。(写真提供:NIAID)

怖いのは「スパイクたんぱく質」に関係する変異

 現在、世界各国で、新型コロナウイルスの遺伝子配列を解読し、新たに発見された変異に基づいてウイルスの系統樹を作成する作業が、ほぼリアルタイムで行われています。新型コロナウイルス感染症が最初に報告された中国の武漢で分離された武漢系統から、欧州系統が枝分かれし、各系統のウイルスもそこから変異を繰り返して、小さな枝分かれがたくさん生じています。ウイルスが感染と増殖を繰り返す限り、変異は発生し続けます。

 ウイルスの遺伝子配列は常に変化していますが、感染力や毒性に関係しない場所であれば、人への影響を心配する必要はないと考えられます。現在、世界の人々を不安にさせているのは、ウイルスが人間の細胞に感染する際に利用する「スパイクたんぱく質」をコードする遺伝子に変異が生じた変異株です。ここに変異が生じると、感染力や毒性が高まったり、既存のワクチンが効かなくなったりする恐れがあるからです(ただし、毒性を著しく高める変異は、感染者が急速に重症化して感染を広げる機会が減るため、ウイルスにとって好ましいとは言えず、発生しても長期にわたって広く流行することは難しいと考えられます)。

製薬会社は既に変異ウイルスに対するワクチン開発に着手

 各国で既に接種されている、新型コロナウイルスに対するワクチンは、ほとんどがスパイクたんぱく質に対する抗体を誘導する設計になっているため、スパイクたんぱく質に変異が生じれば、ワクチンの効果が下がる可能性があります。実際に、実験室レベルでも、臨床試験でも、一部の変異株に対するワクチンの効果の低下が示されています。これは、既に新型コロナウイルス感染症を発症し、回復した人も、変異株には再度感染するリスクがあることを示唆します。

 ワクチンを開発、製造している製薬会社は、注意が必要な変異株が報告されるたびに、自社のワクチンの効果を検討しています。並行して、ワクチンを接種している各国の当局も、有効性を調べています。例えば、カタールのNational Study Group for COVID-19 Vaccinationは、同国で集団接種を受けた人々を対象に分析を行い、ファイザー社のワクチンの、新型コロナウイルスへの感染を予防する効果と、新型コロナウイルス感染症の発症を予防する効果は、英国由来の変異株については90%程度であること、南アフリカ由来の変異株ではやや低い70%台で、引き続き有効と見なせることを示しています(*1)。

 また、インドで猛威をふるっている変異株について、ファイザー社は「ワクチンは有効であるため、新たにこの変異株を対象とするワクチンの開発は必要ではない」と述べつつも、既にこの変異に対応するワクチンを製造し、人に投与する臨床試験を3月に開始しています。また、従来型のワクチンの2回接種を終えている人に3回目の接種を行うと、変異株も含む新型コロナウイルスに対する免疫反応がさらに高まるかどうかの検討も予定しています。

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