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増える大腸がん、不安に思ったら検診を

2015年の新規患者数は胃がん、肺がんを抜き1位へ 

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 出演予定だった舞台を降板した俳優の今井雅之氏が、4月30日に記者会見を行いました。体育会系の熱い俳優として知られていた彼の外見の大きな変化には息をのみました。現在は大腸がんのステージ4で、診断された時点で余命宣告をうけていた、という告白に、「もしかしたら自分も…」と不安になった方が少なくないのではないでしょうか。

ランキングの順位を上げる大腸がん

 その2日前に、国立がん研究センターが発表した2015年のがん統計予測では、今年新たにがんと診断される人(がん罹患者)が最も多いのは大腸がんになっていました。同センターの発表の詳細はがん情報サービスのサイトで閲覧できます。

 この予測によれば、今年のがん罹患者は約98万2千100人(男性56万300人、女性42万1800人)で、2014年の予測に比べ、男女合わせて約10万人増加するようです。罹患者が多い順番に並べると、大腸がん、肺がん、胃がん、前立腺がん、乳がんとなりました。2014年には、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんの順番でしたから、大腸がんは胃がんと肺がんを抜いて第1位に躍り出たことになります。

 次に、2015年のがん死亡者は約37万900人(男性21万9千200人、女性15万1千700人)になる見込みで、2014年の予測に比べ約4千人増と予想されています。死亡者が最も多いのは肺がんで、以下、大腸がん、胃がん、膵臓がん、肝臓がんの順番になるとのこと。2014年には、肺がん、胃がん、大腸がん、膵臓がん、肝臓がんの順番でしたから、死亡においても大腸がんは順位を上げました。

早期なら「治る」大腸がん、カギは検診

 大腸がんは治療が難しいがんなのでしょうか。大腸癌研究会の集計によれば、5年生存率は、ステージ4では 13%ですが、ステージ1なら91%と非常に高く(*1)、早期に見つかり適切な治療を受ければほとんど「治る」がんだということができます。

 早期発見には、定期的に検診を受けることが大切です。では、日本で大腸がん検診を受けている人の割合はどれくらいでしょうか。2013年の国民生活基礎調査によると、40~69歳の男女のうち、便潜血検査などを用いた大腸がん検診を受けていた男性は41.4%、女性は34.5%にとどまりました(*2)(検診については関連記事「大腸がん検診で受ける検査の長所・短所は?」をご覧ください)。

 残念なのは、便潜血検査で陽性となり、精密検査を受けるように指示された人の約4割が、精密検査を受けていないという事実です。便潜血検査で陽性ならきっと大腸がんだ、と考えて恐ろしくて検査にいけない人もいるのかもしれませんが、本当に大腸がんである確率はたいして高くありません。

 大阪がん予防検診センターの報告では、1996~2002年に便潜血検査による大腸がん検診を受けた20万4824人のうち、陽性となったのは9154人(4.5%)でした。実際に大腸がんと診断された患者は、陽性判定を受けた人の6.6%に相当する474人(検診を受けた人の0.23%)でした(*3)。

大腸がんの危険因子

 定期的に検診を受けることも大切ですが、並行して、大腸がんになりにくい生活を心がけることも重要です。他のがんと同様に、大腸がんも加齢とともに発症しやすくなります。しかし、それ以外の、努力すればリスクを下げられる可能性がある危険因子も知られています。たとえば、肥満、喫煙、大量飲酒や、牛、豚、羊などの赤身肉、ベーコン、ハム、ソーセージ、サラミなどの加工肉の過剰な摂取、運動不足などがこれに該当します。対策として特に有望なのは運動です。積極的に運動することによって、大腸がんのリスクが低下することが示されています。加えて、食生活に気をつけるとよいでしょう。

 なお、家族歴(直系の親族に患者がいる)も、大腸がんの危険因子の一つです。親族に患者がいる場合には、大腸がん検診を積極的に受け、心配なら専門医に相談してください。

 大腸がん以外のがんについても危険因子を知りたい方は、「がん種別リスク要因と予防法」(*4)をご覧ください。

■参考資料
*1 大腸がん研究会 大腸がん治療ガイドラインの解説
http://jsccr.jp/forcitizen/comment04.html
*2 がん情報サービス がん検診受診率
http://ganjoho.jp/public/statistics/pub/kenshin.html
*3 がん検診の感度・特異度、検診歴別がん発見率
「統計資料からみる大阪府のがん対策進捗と今後の課題」研修会で平成23年2月4日に発表 大阪がん予防検診センター山崎秀男
http://www.mc.pref.osaka.jp/ocr/images/data/yamazaki_dr.pdf
*4 がん情報サービス がん種別リスク要因と予防法
http://ganjoho.jp/public/pre_scr/cause/part_distinction.html

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