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地域包括ケアは「閉じこもらせない力」が鍵

 増谷 彩=日経メディカル

デイケアのメニューにカラオケも用意

クボタクリニック院長の窪田彰氏

 しかし錦糸町モデルの地域には、医療法人の精神科デイケアやナイトケアをはじめ、社会福祉法人の共同作業所やコミュニティーサロンなど、10以上の選択肢がある。1つのデイケアの中にも、パソコン教室や料理作り、外の飲食店に出掛けるイベントやカラオケなど、様々なメニューがある。その上、知的障害や統合失調症などの疾患別、年代別など、対象も緩やかに分けられている。これは、「同じカラオケでも、若い人と高齢の人では歌いたい歌が違う」(窪田氏)ためだ。

 患者は、「作業は嫌だけど会話はしたい」「人と話すのは苦手だが黙々と作業をするだけなら行ける」と内容で選択することもあれば、「外来の待合室でたまに会っていた○○さんがいるからこの施設に行きたい」「なじみの心理士さんが顔を出すことがあるからここなら通えそう」と人間関係で施設を選択することもある。自分の好みでリハビリメニューを選ぶから、続きやすいということだ。

 窪田氏は、「様々なメニューを提供することで、何かに引っ掛かってくれる。最初は黙って作業しているだけでも、続けていく中で人と親しくなるチャンスがある。人と一緒に何かをすることが楽しくなれば、治療やリハビリに通い続けるようになり悪化を防げる」と言う。

「引っ掛かり」を作って家から出す

 記事の例は高齢者の話ではないが、これは高齢者の要支援・要介護移行の予防にも通じる話ではないだろうか。高齢者だからとひとくくりにせず、定年前は職場のマネジメントが生きがいだったという人にはボランティアや福祉事業の運営に関わってもらったり、体をしっかり動かしたい人には運動プログラムを用意、一人の食事は寂しいから誰かと話をしたい人にはお弁当を持ち寄れるサロンを勧める──といったように、複数の選択肢の中から個人に合った「引っ掛かり」を見つけてもらうことが先決なのではないだろうか。

 選択肢は多ければ多いほど、個々の高齢者の嗜好とマッチする可能性が高まる。これらは必ずしも会場やプログラムをきっちりと用意し、イベントとして成立させなければならないわけではない。ハイキング同好会やカラオケサークル、持ち寄った昼食を一緒に食べるだけの会など、緩やかな仲間作りを手助けし、活動は各団体で自由に考えてもらうだけでもよいだろう。

 まずは選択肢を増やして「引っ掛かり」を作ることにより高齢者を引っ張り出し、それでも閉じこもる人は将来要支援・要介護となるリスクが高い人として行政が注視する。筆者は、そんな仕組みを構築することが、地域包括ケアの出発点となると感じている。

この記事は、日経メディカルからの転載です。

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