医師3162人に聞く「東京五輪も禁煙五輪にすべき?」
2020東京五輪での広範な禁煙を9割超が支持
高志昌宏=日経メディカル
オリンピック開催都市では、大会に合わせて飲食店を含めた公共の広範な施設において禁煙が実施されている。2020年の東京五輪においても同様な措置を実施すべきか、日経メディカル Onlineが医師会員を対象にアンケートを行ったところ、9割以上が「実施すべき」と回答した。東京都は五輪を見据えた屋内禁煙に関する条例の制定を断念したとも報道されているが、人々の健康を守る立場にある医師たちは、その方針に対して明快に「NO」を突き付けた形だ。
現在喫煙中の医師でも6割が大会時の禁煙には賛成
今回の調査ではまず、2004年のアテネ五輪以降、開催都市では大会に合わせて飲食店や公共の施設での広範な禁煙を実施していることを紹介。
その上で、「東京五輪の開催に際し、(我が国でも)東京都条例または法律を整備し、公共の場での禁煙を実施すべきと考えるか」との問いに対して、「はい」または「いいえ」で答えてもらった。
その結果、総回答者3162人中2873人(90.9%)が、「はい」と回答した。「いいえ」は289人(9.1%)だった(図1)。
これを回答者の喫煙状況から、非喫煙者(これまでに喫煙習慣がない)、前喫煙者(過去に喫煙していたが現在は禁煙している)、現在喫煙者に層別して集計したところ、公共の場での禁煙の支持率は、非喫煙者では95.0%、前喫煙者が89.9%、現在喫煙者が58.9%となった。現在喫煙している医師でも、五輪実施時の公共の場での禁煙については、6割近くが賛成だった。
次に、WHOが策定し我が国も2004年に批准した「たばこ規制枠組み条約(FCTC)」について聞いた。「FCTCを知っているか」との質問に対して、「はい」と回答した医師は751人(23.8%)と、4分の1にとどまった(図2左)。
またFCTCでは批准国に対して、受動喫煙防止の観点から罰則規定を伴った屋内完全禁煙の実施を要請している。このことを知っているかを聞いたところ、「はい」との回答は739人(23.4%)と、FCTCの認知度とほぼ同じ割合となった(図2右)。日頃から禁煙指導を行う立場にあるだけに、FCTCの存在を知っている医師は、その具体的な内容についての知識も持っているといえるのかもしれない。
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