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ヨーグルトに効果あり? 紫外線対策の最前線

シミ、シワ、皮膚がんの原因になる紫外線、しっかり対策を

 伊藤和弘=フリーライター

 風薫る5月、さわやかな季節で外に出かける機会もおのずと増えてくるが、気をつけてほしいのが紫外線。気象庁の調査によると、7月や8月と並んで、5月は最も紫外線が強い月だという。無防備に太陽を浴びていると、どんどんシミやシワが増えてしまう。そこで4月半ばに東京都港区で開催されたセミナー「現代における紫外線の脅威とその最新対策」(主催・同セミナー事務局)から、最新の紫外線対策を紹介しよう。

1日10分以上の日光は有害

 最初に壇上に立った東京女子医科大学皮膚科学教室の川島眞教授は、イントロダクションとして「光老化」について語った。

 年を取ると、肌には色のムラが出て、深いシワが刻まれてくる。その原因の80%は紫外線を中心とした太陽光であり、これを光老化と呼ぶ。実際、お年寄りでも太陽に当たらないお尻や太ももの肌はスベスベしていて、明らかに顔よりも若い。

 紫外線は可視光線よりも波長が短く、生物に対する影響力が強い光。地上に届く紫外線には、波長の長い(320~400nm)UVAと、波長の短い(280~320nm)UVBがある。

 「このうちUVBは主に皮膚の表皮に作用して日焼けやシミの原因に。波長が長いUVAは奥の真皮まで到達して、深いシワの原因になることが分かっています」と川島教授。

 昭和の時代には「日光浴」という言葉もあったように、紫外線も悪いばかりではない。人体にはある程度の紫外線が必要で、ビタミンDの合成などに役立つことが知られている。しかし、川島教授によると、「顔と手に1日10分も浴びれば十分。それ以上は害にしかならない」という。

7割の男性は日焼け止めを使わない

 ところが、光老化という言葉は意外なくらい知られていない。NPO法人皮膚の健康研究機構が2015年10月に、12~70歳の日本人男女各156人(計312人)に行った調査によると、光老化という言葉を「意味を含めて知っている」と答えた人はわずか4.2%。「知らない」という人がほとんど(86.2%)だった。

 また、日焼け止めに使われる「SPF」という言葉を「意味を含めて知っている」人は10.9%。同じく「PA」は6.1%しかいなかった。

「光老化」関連の言葉の認知率
(データ:NPO法人皮膚の健康研究機構)
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 ちなみにSPF(Sun Protection Factor)はUVBに対する防御力を示す指標で、2~50の数字で表される。SPF30とは、例えばUVBに10分間当たると赤くなる人で、その時間を30倍、すなわち10分×30=300分に延ばすという意味。一方、PA(Protection Grade of UVA)はUVAの防御力を指し、最大4個までの+(プラス)で強さが示される。

 同じ調査で日焼け止めについて聞いてみると、男性はほとんど使っていないことも分かった。「日常的に使用」している男性は3.2%しかおらず、「まったく使用しない」男性が7割(70.5%)を占めていたのだ。

 「光老化という言葉とともに、SPF15以上、PA1+以上のサンスクリーン(日焼け止め)を日常的に使うことで光老化を予防できることを啓発していきたい」と川島教授は訴えた。

紫外線が強い地域の人はシミも多い

 続いて、再生未来クリニック神戸(神戸市中央区)の市橋正光院長による講演だ。

 市橋院長によると、紫外線は皮膚がんの原因にもなる。英国からオーストラリアへの移住年齢と皮膚がんの発症率を見た疫学調査によると、生まれたときから(紫外線の強い)オーストラリアにいる人は、大人になって英国から移住してきた人たちよりも明らかに皮膚がんの発症率が高かった。

 「紫外線を浴びて肌が赤くなるのは炎症が起こっているということ。炎症の引き金となる主原因は遺伝子の傷で、夏の太陽光を1時間浴びると、表皮上層では細胞1個当たりのDNAの傷は100万に達します」と市橋院長は指摘する。通常はそれが修復されるが、何らかの理由で修復に異変が起きると皮膚がんにつながるという。また、年を取るほど修復能力も落ちていく。

 シミの原因も、やはり紫外線だ。

 皮膚に紫外線が当たると、紫外線が直接遺伝子に吸収されることで、あるいは紫外線により発生する活性酸素により間接的に遺伝子に傷がつく。すると表皮の角化細胞は色素細胞にメラニン(紫外線を吸収する黒い色素)を作らせて、細胞を守ろうとする。ところが遺伝子が変異した角化細胞は必要以上にメラニンを作らせ、それがシミになってしまうという。加えて、肌のターンオーバー(細胞の入れ替わり)は年々低下するため、シミやくすみが目立つようになる。

 つまり、シミ、シワ、皮膚がんを防ぐためには「できるだけ紫外線を浴びない」に限る、ということだ。実際、「紫外線の多い鹿児島県で暮らす40歳の女性は、秋田県の60歳の女性と同じくらいシミがあった、という調査結果もあります」と市橋院長。

コラーゲン入りヨーグルトで紫外線に対する抵抗性がアップ!?

コラーゲンペプチド入りヨーグルトを4週間飲んだグループは、紫外線に対する抵抗性がアップしたという研究が(© yelenayemchuk 123-rf)

 これまでの紫外線対策は、帽子や日傘を使う、日焼け止めを塗る、など“外側”からの対策ばかりだった。そんな中、新たに市橋院長が目をつけたのが“内側”からの対策だ。

 紫外線の害は活性酸素によって炎症が起きること。そこで抗炎症作用が報告されているコラーゲンペプチド(コラーゲンを低分子化して、体内で吸収しやすくしたもの)や、美肌効果が期待されているヨーグルトの抗紫外線効果を研究することにしたという。

 30~50歳の女性22人を2グループに分け、一方にだけコラーゲンペプチド1000㎎とミルクセラミド(牛乳由来のリン脂質成分)10㎎を含むドリンクタイプのヨーグルトを1日190g、4週間飲んでもらった。その後、紫外線照射をすると、ヨーグルト(コラーゲンペプチドおよびミルクセラミド入り)のグループは皮膚の赤みや色素沈着が少なく、紫外線に対する皮膚の抵抗性が強くなっていたことが確認された。

 「コラーゲンペプチド、ミルクセラミド、ヨーグルト、どれが効果をもたらしたのかは分かりませんが、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が腸内細菌叢に作用して皮膚の免疫力を高めた可能性があります」と市橋院長。

 やがて“飲む日焼け止め”が普及する時代がやってきそうだが、研究はまだ始まったばかり。とりあえずは帽子や日焼け止めなど、外側からの対策で、これから夏にかけて強くなる紫外線をしっかりガードしてもらいたい。

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川島眞(かわしままこと)さん
東京女子医科大学皮膚科学教室教授
川島眞(かわしままこと)さん

1978年、東京大学医学部卒業。同医学部皮膚科講師、東京女子医科大学皮膚科助教授を経て、92年より現職。日本美容皮膚科学会理事長。東京女子医科大学病院皮膚科では男性美容も担当。著書に『皮膚に聴く からだとこころ』(PHP新書)など。

市橋正光(いちはしまさみつ)さん
再生未来クリニック神戸院長
市橋正光(いちはしまさみつ)さん 1970年、神戸大学大学院医学研究科修了。92年、同大学医学部皮膚科教授に就任。2010年より現職。神戸大学名誉教授。日本抗加齢医学会監事。著書に『皮膚の光老化とサンケアの科学』(フレグランスジャーナル社)など。
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