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ストレス性のうつ、不眠、頭痛は「漢方」で重症化予防を

症状別の向く薬は?

 伊藤左知子=医療ジャーナリスト

 1つは視床下部・下垂体・副腎系の経路。これは副腎皮質ホルモン(コルチゾール)というストレスホルモンを分泌する経路だ。コルチゾールはエネルギーをつくったり、集中力を高めたりなど良い働きをするが、このホルモンが出続けると炎症反応が起こり、免疫が抑制され風邪を引きやすくなったり、けがや病気が治りにくくなったりする。また、分泌が長期にわたると、脳の海馬と呼ばれる部分が障害を受け、高齢者の場合は認知機能の低下にもつながるという。うつ病になるのもこの経路が原因だ。

 もう1つの経路は、自律神経系の経路で、ストレスが自律神経系の橋・延髄に影響すると、交感神経が優位となり、副腎からアドレナリンが分泌されて、血圧上昇、心拍数増加などが起こる。

[画像のクリックで拡大表示]

ストレスによる障害はうつ病だけではない

 ストレスがかかり続けて、視床下部・下垂体・副腎系や自律神経系の亢進(こうしん)が続くと、うつ病や不安障害などの精神疾患から、胃痛や食欲不振などの心身症まで、様々な障害が起きてくる。

ストレスと関連する主な精神・身体疾患

  • うつ病 
  • 不安障害(パニック障害、不安障害、PTSDなど)
  • 適応障害
  • 依存症(アルコール、薬物)
  • 心身症
  • 身体表現性障害

ストレス関連疾患に漢方治療が良い理由

 では、ストレスから様々な疾患が起きた場合、どうすればいいのだろうか。

 ストレスが続くと一番心配なのがうつ病だ。水上さんは、「漢方薬は自殺願望がある場合や、職場に行くこともできないくらい重度のうつ病には適していませんが、そうなる前の重症化予防と症状の改善に適しています」と話す。

 慢性的なストレスがかかると、副腎皮質から分泌されるストレスホルモンに体が対応しきれなくなり、ストレスホルモンに対抗して分泌されるはずの、不安やイライラをコントロールする「セロトニン」や、喜びや生きがいを感じさせる「ドーパミン」といった神経伝達物質が減少して、うつ病になる。

 西洋薬は慢性的なストレスの影響で減少したドーパミンやセロトニンに直接働きかけて、これらを増やすことにより症状を改善させる薬である。一方、漢方薬はストレスホルモンの働きを緩和させるなど、ストレスに負けない体質をつくることで、ドーパミンやセロトニンが減らないようにする薬だ。

 効き方にどのような違いがあるかというと、西洋薬はうつ病をピンポイントに改善させるのが特徴だが、漢方では体質や症状により様々な生薬を組み合わせた薬を使うため、うつ病だけでなくストレスホルモンによって起こる他の不調にも効くといった特徴がある。

 「例えば柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)という漢方薬は、うつ症状の改善だけでなく、ストレスホルモンが要因となる高血圧や不眠の改善も期待できます」と水上さん。

 では、具体的にどんな症状にどんな漢方薬が向くのだろうか。

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