糖尿病と診断されたら年に1度は眼科受診を
糖尿病網膜症は、進行すると失明にもつながる深刻な疾患だ。しかし、ものを見るために最も重要な働きをする黄斑部(網膜の中心部)に障害が及ぶまで視力への影響は表れにくく、見えづらいなどの自覚症状が出てから眼科を受診しても治療が困難な場合がある。実際、糖尿病網膜症罹患者のうち37.5%は、網膜症診断時に自覚症状はまったくなかったという(図3)。
糖尿病診療ガイドラインでは、少なくとも年1回眼科を定期受診することが望ましいとし、リスクの高いケースではより短い間隔での受診を勧めている。しかし調査回答者の46.9%は、糖尿病と診断されたら年1回以上の眼科受診が必要であることを知らなかったと答え、患者への情報提供が十分でない現状がうかがえた(図4)。
網膜症の発症と重症化を予防するには、糖尿病治療の継続はもちろん、早期の眼科受診と、適切な頻度での眼科定期受診がカギを握る。そのためには、患者の理解を促す十分な情報提供と、眼科医と糖尿病治療医の連携をベースとした具体的な行動支援が不可欠となる。