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警察署で集団感染! 過去の病気ではない結核の怖さ

死亡した患者は「スーパースプレッダー」だったのか?

 大西淳子=医学ジャーナリスト

指示通りに半年間治療を受ければ、基本的には治る

重症でなく、周囲に感染させる危険も低ければ外来で治療が可能です。(© takasu-Fotolia.com)

 結核を発病したのに治療を受けなければ、約半数は死亡するといわれています。結核は、治療を受ければ基本的には治る病気ですが、近年、複数の治療薬が効かない耐性菌が見つかるなど、新たな問題も明らかになっています。

 結核と診断された時点で、全身状態が悪い患者、症状が深刻な患者、周囲に感染させる危険性が高い患者には入院が指示されますが、そうでなければ、外来で処方を受けて、複数の治療薬を6カ月間服用することになります(標準治療)。

 治療開始後は、症状が消えても指示通りに服薬してください。飲み忘れや自己判断による服薬中止は、薬剤耐性菌の出現につながります。日本では、結核患者の8割以上が標準治療で完治しますが、標準治療に含まれている最も効果が高い2剤に対する耐性を獲得した結核菌(多剤耐性菌)に感染すると、さまざまな治療を受けても、約半数しか完治できません。

BCGは有効だが効果は15年程度で失われる

 結核予防に、BCGワクチンの接種は有効です。予防接種は、生後3~6カ月の乳児に1回接種されています。生後1歳までのBCGワクチン接種は、小児の結核発症を52~74%程度減らすことが示されています。ただし、効果は15年程度で失われます。

 成人の場合には、免疫力を維持することが大切です。十分な睡眠、適度な運動、適切な栄養摂取により体調を管理し、結核発症を回避しましょう。

渋谷署で死亡した患者はスーパースプレッダーだったのか?

 ここまでの情報に基づいて考えると、一般の会社員より健康で体力的にも恵まれていると思われる警察官が何人も結核に感染し、2割強が発症したことは不思議に思えます。今回の感染者が皆、「濃厚接触者」だった可能性は考えにくい気がします。また、解剖に関係した医師は、基本的な感染予防策は取っていたはずです。それでも集団感染が発生したことは、発端となった肺結核患者が「スーパースプレッダー」だった可能性を示唆します。

 スーパースプレッダーとは、通常よりも多くの人にウイルスや細菌を感染させる人を意味しますが、より規模の大きな集団感染を引き起こす理由については、一般の患者より排出する結核菌が多いのではないか、他人と濃厚接触する傾向が高いのではないか、などと考えられていますが、真相は今のところ不明です。

 すでに日本でも、多剤耐性結核菌スーパースプレッダーの存在が報告されています(*4)。これまで以上に、結核予防に注意をはらい、気になる症状があれば早めに受診するよう心がける必要があります。

■参考文献
厚生労働省 結核とBCGワクチンに関するQ&A
公益財団法人結核予防会 結核Q&A

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