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新型コロナ発症前の患者からクラスター発生

シンガポールの調査で確認、「社会的距離」拡大の重要性を示す

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 新型コロナウイルスに感染した人が、症状が出る前に周囲に感染を広げ、クラスター(感染者の集団)を発生させていることが、シンガポールにおける追跡調査で明らかになり、米疾病予防管理センター(CDC)のレポートとして報告されました(*1)。

新型コロナウイルスは発症前の患者からも感染を起こす。(画像提供:NIAID)

「新型コロナの12.6%は発症前感染の可能性」との報告もあった

 これまでにも、新型コロナウイルスで発症前感染(症状が出る前の感染者からの感染)が起こり得ることを示唆する報告はありました。例えば中国のある研究は、最初の患者の発症日と、その患者から感染した患者の発症日を比較して、「感染の12.6%は最初の患者の発症より前に起きていた可能性がある」としています(*2)。しかし、発症前の感染者が周囲の人に感染させることを示した、決定的な報告はありませんでした。

 今回、シンガポール保健省の研究者たちは、同国で初めて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者が確認された2020年1月23日から、3月16日までに報告された243人のCOVID-19患者の感染経路を調べました。うち157人は中国などからの帰国者ではなく、地域で感染した患者でした。

 同国では、COVID-19と診断された患者には聞き取り調査を行い、発症前2週間の行動を尋ねて、感染源の特定を試みています。また、その患者が発症してから隔離されるまでに接触した人を同定し、全員の健康状態を毎日確認し、症状が現れた人についてはPCR検査を行っています。

 「発症前の感染」は、「新型コロナウイルス感染者(発端者)にCOVID-19の症状が現れる前に接触した人が、その後感染していることが明らかになり、この患者には、発端者以外のCOVID-19患者との接触歴がなかった場合」と定義しました。

 研究者たちは、243人の患者の臨床データと疫学的データを詳細に調べ、個々の患者を疫学的に関連づけて、発症前感染の可能性を検討しました。今回の分析では、「呼吸器症状(咳など)、消化器症状(下痢など)、全身症状(発熱など)が現れた時点」で発症としました。

発症前の患者からクラスターはどのように発生したのか?

 検討の結果、発症前感染が起きていたとしか考えられないクラスターが7つ見つかりました。それらは1月19日から3月12日までに発生したクラスターで、それぞれ2~5人の感染者からなっています。以下(次ページ)が各クラスターの概要です。

*1 Wei WE, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2020 Apr 1;69
*2 Du Z, et al. Emerg Infect Dis. 2020 Mar 19;26(6). doi: 10.3201/eid2606.200357.

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