[PR]女性は常に“ホルモン変動の波”にさらされている
男性の理解で女性のパフォーマンスは向上
「女性の部下がどんよりしている」「妻がイライラしているが、どう対処したらいいかわからない」──。こんな悩みを抱える男性に、問題解決のヒントを与えてくれるセミナー「“男性のための”、女性の健康講座」(主催:日経Goody、広告協賛:バイエル薬品株式会社、後援:公益社団法人 日本産科婦人科学会)が、2019年2月28日、東京・千代田区の御茶ノ水トライエッジカンファレンスにおいて開催された。
セミナーは2部構成で、前半は東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座教授・大須賀穣氏の基調講演、後半は日経Goody編集長・寺西芝が聞き手を務めた大須賀氏とのトークセッションが行われ、会場からの質問も受け付けた。会場には40~50代のビジネスマンが詰めかけ、質疑応答では次々に手が上がるなど、関心の高さをうかがわせた。
月経にまつわる症状は、低用量ピルが選択肢に
前半の基調講演で大須賀氏は、月経とホルモンの関係や体調管理の重要性について語った。痛みなどの症状が強い場合は産婦人科を受診し、低用量ピルなど、その人に合った薬の処方を受けると、症状を改善できるという。

講演の冒頭、富士山を背景に大波がせり上がる絵がスクリーンに映し出された。葛飾北斎の「富嶽三十六景神奈川沖浪裏」だ。そこに大須賀氏は「女性の一生は波乗りの連続」という文字を重ねた。女性は初経を迎える12歳頃から、閉経を迎える50歳頃まで、常に“ホルモン変動の波”にさらされている(図1)。そして、50歳前はホルモンの分泌が高いことが、50歳頃以降はホルモンの分泌が低下することが心身のバランスに大きな影響をもたらしている(図2)。このことを理解しないと、女性の健康問題は語れないと大須賀氏は強調する。


女性の身体は、周期的に変化する。ホルモンの作用により、 卵巣では卵胞が発育・成熟し、14日目頃に卵子を放出する。これを排卵という。この排卵日の1~2日前に性行為を行うと妊娠しやすい。
排卵後の卵胞は黄体に変化し、排卵後14日頃に退化する。子宮内膜はいったん妊娠に備えた状態になるが、妊娠しなかった場合、はげ落ちて血液とともに子宮口から排出される。これが月経である。
こうした一連のサイクルの中で、卵胞はエストロゲン、黄体はプロゲステロンというホルモンを分泌する。この2種類のホルモンの分泌が増減するため、女性の体調にさまざまな影響がもたらされる。
例えば、月経前になると、イライラしたり、乳房や腹部が張ったりする。このような症状が強くあらわれ、日常生活に影響するものを「月経前症候群(PMS)」という。また、月経中に下腹部痛、腰痛などに悩まされる場合は「月経困難症」という(図3)。このような月経周期に伴ってあらわれる症状を、まとめて「月経随伴症状」と呼ぶ。

これらの症状に悩む場合は、「産婦人科を受診し低用量ピルを処方してもらうと、月経に関連する不快な症状を改善できる」と大須賀氏は話す。低用量ピルは、エストロゲンとプロゲスチンの2種類の女性ホルモンを含有しており、避妊を適応に持つ薬剤と、月経困難症治療薬として使用されるものがある。避妊薬としてではなく、月経困難症に使用される低用量ピルがあることは、日本ではあまり知られていない。なお、月経後からの数日間は、ホルモンの変動が少ないことから、女性は仕事に集中しやすいという。
20~40代の女性は、月経量の増加や月経痛が生じる「子宮筋腫」や、痛みに加えて不妊症の原因ともなる「子宮内膜症」にも注意が必要だ。また、体外受精を含む不妊症の治療を受ける場合、女性の負担が大きいため、仕事と両立しにくいという問題点があると大須賀氏は指摘する。このほか、「子宮頸がん」の早期発見のためには、20歳から2年に1回、自治体から届く無料検診券を活用するとよいようだ。
更年期障害には、ホルモン補充療法が有効
50歳前後の女性を悩ますのが更年期障害だ。さまざまな症状があらわれるが、産婦人科を受診し、ホルモン補充療法を受けると、不快な症状を緩和できるという。
女性はおおむね50歳前後で閉経を迎えるが、閉経の前後5年、計10年を更年期という。女性は更年期になると、さまざまな心身の不調を経験する。これが「更年期障害」である。
更年期障害の原因は、閉経とともにエストロゲンの分泌が急激に低下することにある。エストロゲンは毛髪、皮膚、血管、コレステロール、子宮、免疫、乳腺など全身に作用しているため、この分泌が急激に低下すると、その影響も全身にあらわれる。
なかでも多いのが、顔がほてる、汗をかきやすいといった症状だ。「接客中の女性が、急に顔がほてったり、汗をかいたりして困ったという話をよく聞く」と大須賀氏は話す。また、寝付きが悪い、眠りが浅いといった睡眠に関する症状や、イライラする、うつになるといった精神症状、肩こり、頭痛などの症状もよくみられるそうだ。

更年期障害では、仕事を休むほどではないが、職務遂行能力が低下することも特徴として挙げられる。このように、出勤していても、心身の健康上の問題により、パフォーマンスが上がらない状態のことを「プレゼンティズム」という。また、体調不良により欠勤を余儀なくされる状態のことを「アブセンティズム」と呼んでいる。
更年期障害の診断・治療では、さまざまな症状を点数化し、ある一定の点数に達すると、治療の対象と考える(図4)。その場合、ホルモン補充療法が効果的だ。「エストロゲンを補うと、症状はてきめんに改善する。副作用はゼロではないが、差し引きはプラス」と大須賀氏。ホルモン補充療法を受けるには、産婦人科医による診察が必要となる。

一方、働く更年期女性の健康意識調査では、「職場に相談できる態勢(雰囲気)がない」と感じている人が46%、「更年期の不調で仕事を辞めたいと思ったことがある」が60%といった結果が示されている(図5)。治療を勧めることも大切だが、職場の環境を整える必要もありそうだ。

また、エストロゲンには骨形成を促し、骨吸収を抑える働きがある。閉経とともにエストロゲンの分泌が急激に低下すると、骨粗鬆症になりやすくなるため、閉経後の女性はとくに骨折・転倒に注意が必要となる。
●セミナーの「基調講演」が以下から動画でご覧いただけます。
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