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新型コロナの発熱にイブプロフェンは避けるべき?

一部の高血圧の薬にも重症化リスクが指摘され、欧米で議論

 大西淳子=医学ジャーナリスト

 では、ウイルス性の疾患である新型コロナウイルス感染症に対して、これら2種類の薬剤がどう働くのかを考えてみましょう。

 参考になるのは、同じくウイルス性の疾患であるインフルエンザで、小児のインフルエンザ患者に投与する解熱剤としてNSAIDsではなくアセトアミノフェンが推奨されていることでしょう。その理由は、NSAIDsがインフルエンザ脳炎・脳症にかかわる可能性が指摘されているからです。

 日本小児科学会は2000年に同学会のホームページで、「一部の非ステロイド系消炎剤はインフルエンザ脳炎・脳症の発症因子ではないが、その合併に何らかの関与をしている可能性があり、インフルエンザ治療に際しては非ステロイド系消炎剤の使用は慎重にすべきである」とし、「アセトアミノフェンによる本症の致命率の上昇はなく、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンがよいと考える」との見解を示しています(*1)。この見解で具体的に名前が挙がったのは、NSAIDsの処方薬であるジクロフェナク(商品名ボルタレンほか)とメフェナム酸(商品名ポンタールほか)です。

 インフルエンザ脳症にNSAIDsの関係が疑われる一方で、アセトアミノフェンは関係しない理由は明らかではありませんが、これらの薬剤の作用の違いがかかわっていると考えられています。

細菌性肺炎でもNSAIDsが合併症リスクの上昇に関係?

 細菌性の肺炎についても、NSAIDsを使うと合併症のリスクが高まり、入院期間が長くなる可能性を指摘する論文(*2)があります。細菌性肺炎を発症した成人と小児の患者を対象に、NSAIDsの影響を検討した複数の研究を集めた分析で、入院前のNSAIDsの使用が、その後の臨床経過を複雑にする(合併症のリスクを高める、入院期間を延ばすなど)可能性があることが示されました。その理由は明らかになりませんでしたが、論文中では以下の2つの仮説が示されています。

1)

NSAIDsが炎症を抑制するため、症状の現れが遅くなり、肺炎の診断や治療開始が遅れる

2)

NSAIDsが炎症を抑制するため、免疫細胞が十分に働けない状態になり、体内での感染拡大が早まる

 この論文の著者らは、専門家や科学者に対して、肺炎などの下気道感染症の患者にはNSAIDsの処方を避けるよう求めていました。

 以上のデータは、感染症による炎症が始まって体温が上昇している患者が、解熱目的でイブプロフェンなどのNSAIDsを服用すると、利益を上回る害が発生する可能性があることを示唆しています。

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