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薬局での自己採血セルフチェック、HbA1c検査を中心に拡大中

 赤坂 麻実=日経デジタルヘルス

出典:日経デジタルヘルス 2015年3月20日(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 健康寿命の延伸や医療費削減に向けて、セルフメディケーションの取り組みが広がっている。政府も一般用医薬品の所得税控除などの制度で、セルフメディケーションを積極的に推し進めている。

 そして最近では、薬局などの店頭で利用者が自ら検体の採取や検査前後の消毒、処置などを行う簡易検査も可能になった(関連記事)。こうした検査の内容や効果はいかなるものか――。「第15回JAPANドラッグストアショー」(2015年3月11~13日、幕張メッセ)で実施されたセミナーで議論が交わされた。

HbA1c検査が広がるワケ

 厚生労働省は2014年4月、薬局などで行う簡易検査の個室/ブース・設備などに関する要件を定めたガイドラインを発表。同ガイドラインに沿って整備した「検体測定室」の届け出の受付を始めた。検体測定室は2015年1月末時点で1000店を突破。検査項目別にみると、最も多いのがHbA1c。検体測定室の約7割で、糖尿病の疑いが調べられるHbA1c検査を実施している(厚労省の発表資料)。

検査を受ける人が自分で指先穿刺(浮田氏の講演資料より)
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 日本一般用医薬連合会の浮田謙二氏(セルフメディケーション実践プロジェクトのチームリーダー)によれば、HbA1cは簡易検査での測定に向く条件がそろっているという。その条件とは次の5つ。(1)飲食の影響を受けにくく、いつでも検査できる、(2)少量の検体で測定できる、(3)その場で測定できて結果も分かる、(4)病院で受診すべきかどうかの基準が明確である、(5)わざわざ検査する価値がある、である。

 HbA1cは、ヘモグロビンと血管内の余分なブドウ糖が結合したグリコヘモグロビンの1種で、HbA1c値によって、過去1~2カ月の平均的な血糖値を知ることができる。飲食の影響を受けにくく、1μLの血液で測定可能。30分以内に結果が分かり、医療費がかさみがちな糖尿病との関連が深い。HbA1c値だけで糖尿病と判断することはできないが、受診勧奨の材料としては十分という。

講演する浮田氏。薬局での簡易検査は店舗の活性化につながることなどから、OTC医薬品業界にとっても歓迎すべきものという。
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糖尿病診断アクセス革命

 簡易検査では、消毒した後、専用の毛細管を使って指先から採血し、検査チップなどに収めて、検査装置にセット。結果がプリントアウトされ、HbA1c値が6.0以上なら受診勧奨を受ける。廃棄物を適切に処理して検査は完了だ。

 検査測定室の制度が成立する以前から、指先採血HbA1c測定装置を薬局店頭に設置して研究を進めてきたのが、筑波大学医学医療系内分泌代謝・糖尿病内科の准教授である矢作直也氏である。同氏は、未発見の糖尿病や予備群の早期診断を促す「糖尿病診断アクセス革命」に取り組んでいる。

 東京都足立区では矢作氏の研究に賛同・協力し、2010年10月から区内10薬局でHbA1c検査を実施。2014年1月~2015年1月には1220人が検査を受け、226人が受診勧奨を受けた。検査後のアンケートには、226人中56人が応じ、このうち42人が実際に受診したと回答した。受診勧奨対象者の少なくとも2割が受診したことになり、病気の早期発見・治療に一定の効果があることが分かったという。

この記事は、日経デジタルヘルスからの転載です。