日本経済新聞 関連サイト

ようこそ ゲスト様
日経Gooday TOP  > 医療・予防  > トピックス  > コロナ変異株の感染者は死亡リスク上昇、従来株の1.6倍  > 2ページ目
印刷

トピックス

コロナ変異株の感染者は死亡リスク上昇、従来株の1.6倍

英国で約11万人を追跡し、変異株と従来株の死亡率を比較

 大西淳子=医学ジャーナリスト

変異株感染者の死亡率は、15日目以降に上昇

 変異株が死亡に及ぼす影響を調べるに当たって、研究者たちは分析方法を慎重に選びました。分析対象とした時期は、感染者が急増し、医療がひっ迫していたため、それ以前に比べ死亡リスクが上昇していた可能性が危惧されたからです。

 これに対処するために選ばれたのは、マッチドコホート研究(a matched cohort study)という方法です。まず、年齢や性別、人種、居住地域、生活水準と、最初に陽性判定を受けたPCRの検体を採取した日が一致する、変異株感染者と従来株感染者のペアを作ります。こうしてできた2つの集団を分析対象にすることにより、感染しているウイルス株以外の患者特性の差をできるだけ小さくしようと試みました。

 2020年10月1日から2021年1月29日までの期間に、新型コロナウイルスの感染を疑わせる症状があり、PCR検査で新型コロナに感染していることが明らかになった30歳以上の人々を、変異株感染者と、従来株感染者に分け、年齢、性別などがマッチするペア5万4906組(10万9812人)を選びました。これらの患者の経過を、PCR検査で最初に陽性になってから28日後まで追跡しました。最終的に、85%超が追跡を完了できました。

 比較したのは、初回の陽性判定から28日以内の死亡率です。10万9812人のうち、367人(0.3%)が28日以内に死亡していました。367人のうち227人が変異株感染者、141人が従来株感染者で、変異株感染者の死亡リスクは1.64倍になっていました(*3)。

 両群の死亡率は、陽性判定から14日目までは同様でしたが、15日目以降に差が拡大しました。14日目までと、15日目から28日目までを分けて比較すると、前半は死亡率に差はなく、後半は、変異株感染者の死亡リスクは従来株感染者の2.40倍になっていました。

 変異株感染者の死亡リスクが従来株の感染者に比べて高いという今回の結果が、ほかの集団にも当てはまるのであれば、変異株の流行は、感染性の上昇と相まってその地域の死亡者を急増させる可能性があります。幸い、現在接種されている主なワクチンは、この変異株に対して有効であることが確認されています。

 しかし、VOC-202012/01にもさらなる変異が生じていることが示され、また、南アフリカやブラジル、フィリピンなどでもそれぞれ異なる変異株が見つかっています。いずれ、現行のワクチンが効かない変異株が登場する可能性は十分にあります。

 ワクチンの接種はこれから、という日本において、新型コロナウイルス感染症による死者を減らすためには、変異株への対応も念頭に置いた医療体制の準備と、感染予防のための対策の徹底が欠かせません。

*3 死亡者の内訳を合計すると368人になるが、論文には367人と記載されているため本記事ではその数値に準じた。

新型コロナウイルス関連記事はこちら

大西淳子(おおにしじゅんこ)
医学ジャーナリスト
大西淳子(おおにしじゅんこ) 筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

先頭へ

前へ

2/2 page

新型コロナ
キーワード一覧へ
日経グッデイ春割キャンペーン

RELATED ARTICLES関連する記事

医療・予防カテゴリの記事

カテゴリ記事をもっと見る

FEATURES of THEMEテーマ別特集

  • 放置は厳禁! 「脂肪肝」解消のコツNEW

    人間ドック受診者の3割以上が肝機能障害を指摘されるが、肝臓は「沈黙の臓器」だけあって、数値がちょっと悪くなったくらいでは症状は現れない。「とりあえず今は大丈夫だから…」と放置している人も多いかもしれないが、甘く見てはいけない。肝機能障害の主たる原因である「脂肪肝」は、悪性のタイプでは肝臓に炎症が起こり、肝臓の細胞が破壊され、やがて肝硬変や肝がんへと進んでいく。誰もが正しく知っておくべき「脂肪肝の新常識」をまとめた。

  • 肩の痛みから高血圧まで、「姿勢の崩れ」は様々な不調の原因に

    「姿勢」が、肩こりや腰痛の原因になることを知っている人は多いだろうが、足の痛みや高血圧、誤嚥性肺炎まで、全身の様々な不調・疾患の原因になることをご存じの方は少ないかもしれない。これまでに掲載した人気記事から、姿勢と様々な病気・不調との関係について知っておきたいことをコンパクトにまとめた。

  • あなたも「隠れ心房細動」?! 高齢化で急増する危険な不整脈

    脈の速さやリズムが乱れる「不整脈」。その一種である「心房細動」は、高齢化に伴い患者数が増加しており、潜在患者も含めると100万人を超えると言われている。心房細動の怖いところは、放置すると脳梗塞などの命に関わる病気を引き起こす可能性があることだ。本記事では、心房細動の症状や早期発見のコツ、治療のポイントなどをコンパクトにまとめた。

テーマ別特集をもっと見る

スポーツ・エクササイズSPORTS

記事一覧をもっと見る

ダイエット・食生活DIETARY HABITS

記事一覧をもっと見る

からだケアBODY CARE

記事一覧をもっと見る

医療・予防MEDICAL CARE

記事一覧をもっと見る

「日経Goodayマイドクター会員(有料)」に会員登録すると...

  • 1オリジナルの鍵つき記事鍵つき記事がすべて読める!
  • 2医療専門家に電話相談できる!(24時間365日)
  • 3信頼できる名医の受診をサポート!※連続して180日以上ご利用の方限定

お知らせINFORMATION

日経Gooday新型コロナ特設 日経Gooday春割キャンペーン

SNS

日経グッデイをフォローして、
最新情報をチェック!

RSS

人気記事ランキングRANKING

  • 現在
  • 週間
  • 月間

NIKKEICopyright © 2021 Nikkei Inc. All rights reserved.