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がんになったらお金はどうする? 看護師FPが伝授する、制度の徹底活用法

『がんになったら知っておきたいお金の話』著者インタビュー:黒田ちはる氏

 千田敏之

本書を執筆したきっかけは?

黒田 2017年秋に、この書籍を担当した編集者が、「がんと暮らしを考える会」の取材に来られたのがきっかけです。私の話をお聞きになり、本にしてみないかと持ちかけられたのです。そこで、これまで経験した相談の中から、典型的なケースを9つ選び、それぞれについてお金に関連する制度と、その活用法をまとめ、1冊の本にしました。

会社員、自営業、専業主婦…相談が多い9つのケースをピックアップ

執筆に当たって特に心がけた点は。

がんになったら知っておきたいお金の話』(黒田ちはる著、発行・日経メディカル開発、発売・日経BPマーケティング、1500円+税)

黒田 患者さんご自身や、ご家族で悩んでいる人が、金銭の悩みの解決に向けて一歩を踏み出せるような本にしたいと考えました。そこで、「自営業(個人事業主)のケース」「働き盛り会社員のケース」「専業主婦のケース」「60代前半のケース」「つらくて退職を検討しているケース」「再発後見通しが分からないケース」というように、相談が比較的多い典型的な9つのケースについて、家計のどんな点をチェックし、具体的にどんな制度を活用すればいいか、どんなアクションを起こせばいいのかを、分かりやすく解説するよう心がけました。

 例えば、「傷病手当金」という健康保険の制度があるのですが、働いている方と、会社を辞めようと考えている人では活用の仕方が全然違うので、ケース別で説明した方が理解しやすいと考えたわけです。

「働き盛りの会社員のケース」の章で、住宅ローンのリスケジュールについて解説されていますが、普通の人は「銀行がローンの支払いを待ってくれる」とは考えないですよね。病院の医療ソーシャルワーカーもその種の相談には乗ってくれませんし。

黒田 患者さんの中には、相談に行ったが銀行から追い返された、という人も結構いて、泣きながら相談に来る人もいます。ただ、「がんになって家計が苦しい」というだけでは話は通じません。「収入はこれくらい下がります。貯金のうち子供の学費で残しておきたいのはこれくらいです。だから、この金額ならなんとかローンを払い続けられます」というように、ある程度理詰めで説明しないと、わかってくれない銀行もあります。そんなリスケジュールを銀行に提案する際の注意点などについても詳しく書きました。

医療関係者にも読んでほしい

本書は、患者さんとその家族向けの本ですが、他に読んでもらいたい人はいますか。

黒田 医療関係者ですね。病院のスタッフを対象に講演をすることもあるのですが、「がんになっても高額療養費制度があるから大丈夫だろう」と思っている医療者は少なくありません。年齢や所得にもよりますが、高額な医療費がかかった場合でも自己負担額は10万円に満たないことが多いです。ただ、その10万円を家計の中からどう捻出しているかは患者さんそれぞれで、色んなローンや子供の学費などの支払いが多く、仮に可処分(手取り収入)額は20万円で、その中の10万円が医療費だと、生活は相当苦しくなります。高額療養費制度があるから大丈夫、とは決して言えないのです。

 逆に、患者さんのためと、薬価の安い薬を処方し、高額療養費制度の多数回該当(*1)から外れてしまうということもありました。治療が長期となる場合は、医師が多数回該当の活用も視野に入れることで、患者さんの月々の治療費の軽減も可能なのです。 

*1 直近12カ月間に3回以上高額療養費制度を利用した場合に、以降の自己負担限度額がさらに引き下がる仕組み。

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