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趣味のない人は生活習慣病になりやすい!?~“多接”のススメ~

多くの人やモノとのつながりが「ストレス軽減→生活習慣病予防」につながる

 西門和美=フリーランスライター

 生活習慣病対策にメンタルケアが有効なのは、生活習慣病の引き金としてとりわけ深刻なものの一つが肥満であるためだ。メンタルストレスは、運動不足やヤケ食いといった肥満の原因となる状況を誘引しやすい。そして肥満は、糖尿病や脂質異常症、高血圧といった生活習慣病の呼び水となりやすい。

 このことから、肥満の芽を摘み生活習慣病を遠ざけるには、メンタルの健やかさを保持することが有効だと考えられるのだ。

自分が元気になれる何かとの出合い=多接

ジョギングなどの運動も「多接」の一つ。要はやりがいや楽しさを感じられるものであれば何でもいい。(©dotshock 123-rf)
ジョギングなどの運動も「多接」の一つ。要はやりがいや楽しさを感じられるものであれば何でもいい。(©dotshock 123-rf)
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 では、 “多接”のためには具体的にどのような生活習慣を心がければよいのだろうか。

 池田さんによると決しておおげさに考える必要はなく、「仕事や趣味などでやりがいを見出したり、家族との団らんなどで人との交流を持ったりして、日々を楽しく過ごすことが“多接”に当たる」とのこと。

 アクティブな人であれば、旅行やドライブ、登山などを実践するのもいい。人とのコミュニケーションが好きなら、パーティーや習い事などでたくさんの人と接したり、SNS交流や家族との団らんを楽しむのもいいだろう。アートに興味がある人は、絵画や陶芸に取り組んだり美術館巡りをしてみても効果的だし、インドア派であれば部屋の模様替えや読書、ゲームなどをしてみるのもいい。

 「生活範囲や交友関係が広がると、心身に刺激を与え活力の源となるような何かと出合うことがある。そうした出合いを得るためには、好奇心をもってさまざまな物事や人と関わる“多接”が有効なのです」と池田さんは話す。必ずしも、広く浅くさまざまなものに触れようとする必要はなく、何か一つの物事をとことん突き詰めることでも効果は期待できる。要は、“その人が元気になれる何か”との出合いを引き寄せればいいわけだ。

先人たちも身をもって知っていた“多接”の効能

 ちなみに、池田さんが提唱する“一無、二少、三多”は、明治~大正時代にかけて内閣総理大臣としても活躍した西園寺公望の“一少(少食)、三多(多動・多休・多接)”がベースとなっている。

 糖尿病の家系に生まれ、既往歴もあった西園寺公望だが、高齢になるまで健康的な心身を保ち90歳まで生きた。

 その健康長寿の決め手こそ、率先して実践した“多接”だといわれている。政治家としてさまざまな物事に向き合うほか、独身ゆえに多くの芸者たちと華々しく交流するなど女性関係も賑やかだったのだそう。こうしたライフスタイルがストレスを緩和させ、健康寿命を長くしたのかもしれない。

 この“一少、三多”に、現代人の生活を鑑みて「無煙」「少酒」の要素を加味したのが“一無、二少、三多”だ。

 歴史をひも解けば江戸時代、83歳にして健康についての指南書『養生訓』を記した貝原益軒もまた、“一無、二少、三多”に通じるライフスタイルを唱えている。

『養生訓』(貝原益軒著・伊藤友信訳 講談社)には、

一人家にいて、古書を読み、古人の詩歌を吟じ、香をたき、古法帖を見て楽しみ、山水を眺め、月花を賞し、草木を愛し、四季の変化を楽しみ、酒を少量たしなみ、庭の畑でとれた野菜を煮たりするのも、みな心を楽しませ気を養う助けになる。

 まさに、あらゆる事象に触れながら豊かな時間を過ごすことこそが、メンタルケアとして有効であると述べているのだ。

 生活習慣病が身近になった現代、予防のために食生活や運動、睡眠などを整える必要性は、広く知られるようになった。それらに加えて今後は“多接”を心がけ、心身ともに健やかさを保ち続けたいものだ。

池田義雄
日本生活習慣病予防協会理事長
池田義雄 東京慈恵会医科大学卒業後、同大生理学、内科学教室を経て、同大健康医学センター健康医学科初代教授に就任。2000年に退任後はタニタ体重科学研究所所長、2014年からは名誉所長となる。専門は、内科学(糖尿病・肥満)、健康医学(生活習慣病・メタボリックシンドロームなど)。『タニタ式カラダのひみつ』(三笠書房)など著書多数。

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