趣味のない人は生活習慣病になりやすい!?~“多接”のススメ~
多くの人やモノとのつながりが「ストレス軽減→生活習慣病予防」につながる
西門和美=フリーランスライター
飲み会やサークルなどの場で人と関わったり、趣味や娯楽を堪能したり…。何気なく思えるこれらの行動は、高血圧、脂質異常症、糖尿病といった生活習慣病予防のために推奨される要素のひとつ“多接”に当たるという。近年ますます罹患率が高まる生活習慣病。その対策として有効な“多接”について、日本生活習慣病予防協会理事長・池田義雄さんにお話を聞いた。
なぜ生活習慣病の予防に“多接”が有効なのか
生活習慣病予防の心得として提唱される“一無、二少、三多”。日本生活習慣病予防協会理事長・池田義雄さんによって掲げられたこの標語が推奨するのは、下記のような心がけに基づくライフスタイルだ。
二少…少食(バランスの良い食事を腹七~八分目まで摂る)
少酒(日本酒換算で1合程度を限度にする)
三多…多動(十分な運動をする。1日1万歩以上の歩行など)
多休(十分な休養をとる。良質な睡眠を十分に確保するなど)
多接(多くの人・物・事に積極的に接する)
現在、特定健康診査(メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病のリスクを検査する)時に行われる「生活習慣に関する問診項目」には、上記のうち多接を除く“一無、二少、二多”をクリアできているか否かを測る項目が設けられている。
・人と比べて食べるのが速いですか(少食)
・就寝前の2時間で夕食をとることが、週に3回以上ありますか(少食)
・夕食後に夜食をとることが、週に3回以上ありますか(少食)
・朝食を抜くことが週に3回以上ありますか(少食)
・お酒を飲む頻度は「毎日・時々・ほとんど飲まない」
のうちどれですか(少酒)
・飲酒日1日あたりの飲酒量は、平均して
「1合未満・1~2合・2~3合・3合以上」のうちどれですか(少酒)
・1日1時間以上、歩行またはそれと同等の身体活動を
していますか(多動)
・同年代の同性と比較して、歩く速度が速いですか(多動)
・軽い汗をかく程度の30分以上の運動を、週2回以上の頻度で
1年以上実施していますか(多動)
・睡眠によって十分な休養がとれていますか(多休)
・この1年間で3キロ以上の体重の増減がありましたか
・20歳のときと比較して体重が10キロ以上増加していますか
など
しかし、この問診項目ではうかがい知ることが難しい“多接”が、じつは生活習慣病予防に大きな効果をもたらすという。
「“多接”によって可能になるのは、メンタルストレスの予防と緩和。生活習慣病が発症し、重大な疾病へと発展しないようその進行を食い止めるためにも、肉体だけでなくメンタルへのアプローチが重要です」(池田さん)
ではなぜ、生活習慣病対策にメンタルケアが効果的なのか。
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