新型コロナの重症度、致死率はどれくらい? 最新報告から見えてきた現状
中国1099例の報告を専門家が評価、高齢者や持病のある人は重症肺炎リスク高い
亀甲綾乃=日経Gooday
SARSと比べて患者数は桁違いに多いが、致命率は低い
2月14日現在、世界の新型コロナウイルス感染症の患者は6万4000人を超え、死亡例は1383人になりました(致命率2.1%)。忽那氏は「新型コロナウイルス感染症は、SARSと比べると感染者は非常に多いが(SARSの感染者は8096人)、致命率はずっと低い(SARSによる死亡者は774人で致命率は9.6%)。今後、もっと軽症の患者を診断できるようになると、見た目の致命率はさらに下がっていくだろう」との見方を示しました。
新型コロナウイルスに限らず、多くの感染症は、感染しても症状が出ない人(無症候性感染者)や、症状が出ても自然に治るなどして、確定診断されていない人が多数存在するとみられています。医療機関で新型コロナウイルス感染症と診断される人は、氷山の一角にすぎません(図2)。こうした人たちも含めれば、真の致命率はさらに低いものと思われます。私たちは、連日報道される患者数や重症例の報告を、こうした背景を踏まえながら、冷静に受け止める必要があります。
高齢者や持病のある人は重症肺炎リスクが高いことは明らか
「現時点ではっきり分かっているのは、高齢者や持病のある人は、新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいということ。また、これまでの感染症に照らし合わせると、免疫不全のある人や妊婦なども重症化しやすい可能性があるので、注意していく必要がある」と忽那氏は強調します。
国レベルでは今後、検査体制の拡充や、医療機関や介護施設での感染対策の徹底など、取り組むべき課題が山積していますが、私たち一人ひとりは、これまで同様、できるだけ人が集まる場所を避け、手洗い、アルコール消毒、マスク、換気などで感染予防に努めることが大切です。もし風邪のような症状が出た場合は、たとえ症状が軽くても外出を控え、極力人との接触を避けて療養に努めることが、感染の拡大防止、ひいては、ハイリスクの人たちの重症化や死亡を極力減らすことにつながるといえるでしょう。
たとえ致命率が低くても、感染者が増えれば増えるほど、重症者や死亡者の数は増えてしまいます。自分自身を守るだけでなく、周囲に感染を拡大させないための配慮がこれまで以上に求められています。
(図版制作:増田真一)