猛威をふるうジカ熱、日本での流行の危険性は?
感染しても8割が無症状、気付かぬうちに国内に持ち込まれる恐れ
塚越小枝子=フリーライター
ワクチンや特効薬はあるの?
現状では、発症を防ぐワクチンや特効薬はない。国立感染症研究所は、世界に先駆けてジカウイルスブラジル株と同じ性状のクローンを作り出すことに成功。将来的にワクチンを作製する際の足掛かりにもなり得るとしている。各国の製薬企業はワクチンの研究開発に動き出している。
ジカウイルス感染症の予防対策は?
流行地域で蚊に刺されないことが第一。次のような防蚊対策を徹底しよう。
- 肌の露出が少ない服を着る(長袖・長ズボン・帽子)
- ペルメトリン(蚊が嫌う成分)を含む服も有効
- DEET含有の防虫剤を使用する(DEET20%以上が望ましいが、日本には最大12%のものしかなく、2時間ごとに塗り直すことがすすめられる)
- 閉め切った部屋、エアコンの効いた部屋で寝る
- 蚊帳を使用する
今、どんなことに気をつければいいの?
日本でのジカウイルス感染症の流行を防ぐには、渡航先で知らない間に感染し、無症状で帰国する人がいることを前提に、感染を拡大させない対策が重要だ。
日本では、ジカウイルス感染症は2月5日に感染症法上の4類感染症・検疫法施行令上の検疫感染症に指定された。感染者を診察した医師は保健所への報告が義務づけられている。また、自治体レベルでは、デング熱の対策と同様、ヒトスジシマカが生息する場所に防虫剤を散布するなどして、蚊の量を減らすコントロールも重要だろう。個人レベルでは、以下のようなことに気をつけよう。
- 妊婦や妊娠の可能性のある人は流行国への渡航を控える
- 渡航中だけでなく、帰国後も約10日間は蚊に刺されないよう、防蚊対策を徹底する
- 帰国後、発熱や皮疹が見られたらすぐに医療機関を受診し、海外渡航後である旨を伝える
- 帰国後、4週間は献血しない
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2ページ目第4段落で、日本で過去に報告されたジカウイルス感染症の輸入症例3例の渡航先の記述が間違っていたため、正しい記述に訂正しました。[2016/2/19]