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新型コロナウイルスで可能性が指摘された「エアロゾル感染」とは?

エアロゾルの定義は世界的にもあいまいで、飛沫にも飛沫核にも該当

 大西淳子=医学ジャーナリスト

この記事は2020年2月13日に公開した記事をアップデートしたものです(最終更新日:2020年2月20日)

 2020年2月8日、上海市政府が開いた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予防と管理に関する記者会見で、上海市民政局副局長のZeng Qun(曽群)氏が、「このウイルスの感染は、主に直接伝播、エアロゾル伝播、および接触伝播によって広がっている」と述べました。突如として現れた「エアロゾル伝播(感染)」という耳慣れない言葉に、不安を覚えた人も多かったのではないでしょうか。実際、最も感染力の高い「空気感染」と同一のものととらえる人も少なくなかったようです。

新型コロナウイルスは「エアロゾル感染」するって本当? そもそも「エアロゾル感染」とは?(写真はイメージ)(C)rrice-123RF

当初は「エアロゾルを介して伝染する証拠はない」との見解

 会見でZeng氏は、「エアロゾル伝播は、空気中でウイルスと液滴が混じって形成され、吸入すると感染が生じる状態」とし、「エアロゾルは長時間空気中に漂う」と説明しました。また、直接伝播は「目の前の人の咳やくしゃみを吸い込むことによる感染」、接触伝播は「ウイルスを含む飛沫に汚染された表面を触った手で、口や鼻、目を触ることによる感染」と解説しました(*1)。

 ちなみにZeng氏は、医師や研究者ではなく、社会福祉、公共政策などを専門としてきた人です。 

 しかしこの記者会見の翌日、中国疾病対策予防センター(CDC)が記者会見を開き、感染症を専門とする医師でWHO戦略諮問グループ(SAGE)のメンバーでもあるFeng Luzhao氏が、「新型ウイルスがエアロゾルを介して伝染するという証拠はない。このウイルスは主に接触感染と飛沫感染によって感染している」と述べ、前日の上海市政府の会見で述べられたエアロゾル感染の事実を否定しました。ただしFeng氏は、エアロゾル感染は、医療現場で気管挿管などの専門的な医療処置を行う場合など、特定の特殊な条件下で発生する場合があることを認めています(*2)。

 その後、2月19日に中国国家衛生健康委員会が、医療従事者向けの新型コロナウイルス感染症診療ガイドラインの改訂を発表(*3)。その中で、「密閉された空間で、高濃度の汚染されたエアロゾルに長時間さらされた場合には、エアロゾルによるウイルスの伝播は起こりうる」と、この経路での感染の可能性を示唆しました。

そもそも「エアロゾル」とは?

 そもそも「エアロゾル」とは何なのでしょうか? 日本エアロゾル学会(*4)は、以下のように解説しています。

 「気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子をエアロゾル(aerosol)といいます。エアロゾルは,その生成過程の違いから粉じん(dust)とかフューム(fume)、ミスト(mist)、ばいじん(smokedust)などと呼ばれ、また気象学的には、視程や色の違いなどから、(fog )、もや(mist )、煙霧(haze )、スモッグ(smog )などと呼ばれることもあります。エアロゾル粒子の性状は、粒径や化学組成、形状、光学的・電気的特性など多くの因子によって表され、きわめて複雑です。(中略)例えば粒径についていえば、分子やイオンとほぼ等しい0.001μm=1nm程度から花粉のような100μm程度まで約5桁にわたる広い範囲が対象となり(後略)」

 つまり、エアロゾルは、空気中に浮遊する、直径が0.001μmから100μmの粒子、ということになります。

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