新事実!トマトで善玉コレステロールが増える
トマトに含まれる「リコピン」がカギ
塚越小枝子=フリーライター
トマトに含まれる赤い色素成分「リコピン」は、抗酸化作用など健康に役立つさまざまな働きが知られている。そのリコピンに、善玉コレステロールを増やす働きもあることが確認された。40年以上にわたりリコピン研究を行うカゴメに聞いた。
コレステロールは善玉と悪玉のバランスが重要

人間ドックなどで高コレステロールを指摘される人の割合は年々増えており、今や3人に1人(図1 データは日本人間ドック学会 2014「人間ドックの現況」より)。コレステロールが増えすぎると動脈硬化を進め、心筋梗塞などにつながるので注意が必要だ。
ところで、コレステロールというと「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロール値ばかりを気にしがちだが、近年は動脈硬化のリスクを知る指標として、「LH比(動脈硬化指数)」という、LDLコレステロール値とHDL(善玉)コレステロール値の比率が注目されてきているのをご存じだろうか。
じつはコレステロールは、体を作る原料となる大切な栄養素。コレステロールを全身の細胞へ運ぶのがLDLコレステロール、細胞で使い切れず余ったコレステロールを回収するのがHDLコレステロール。重要なのは、悪玉(LDL)と善玉(HDL)の適切なバランスであり、高コレステロールの人は、LH比の分子となる悪玉(LDL)コレステロールを減らしつつ、分母となる善玉(HDL)コレステロールを増やし、LH比を小さくすることが大切だ。

LH比は2.0未満が一つの目安と考えられ、2.0以上になると動脈硬化が始まるといわれている(LH比に関する詳細は「コレステロールや中性脂肪の値が基準範囲内であれば心配いらない?」をご覧ください)。
リコピンに善玉コレステロールを増やす働き
LH比を適切なバランスに近づけるには、悪玉(LDL)コレステロールを減らすか、善玉(HDL)コレステロールを増やすことが考えられる。
悪玉を減らすには、継続的な運動のほか、肝臓でコレステロールをつくる材料となる飽和脂肪酸・トランス脂肪酸を多く含む食品(脂肪の多い肉やマーガリン・ショートニングなど)を控える、不飽和脂肪酸を含む食品(青魚など)や食物繊維を積極的にとるなど、食生活上でさまざまな対策を講じ得る。一方、善玉(HDL)コレステロールを増やすには、有酸素運動や肥満の改善などが有効といわれているが、食生活の改善で善玉を増やすのは簡単ではないとされていた。
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