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リオ五輪後の日本が危ない! ジカ熱が中南米で急増

ブラジルでは「新生児100人に1人が小頭症」の異常事態も

 大西淳子=医学ジャーナリスト

ギラン・バレー症候群もジカ熱と関連か

 以前から、ジカウイルス感染症を経験した患者が、その後、末梢神経の病気であるギラン・バレー症候群(Guillain-Barre syndrome;GBS)を発症したという報告はありました。WHOによると、いま、エルサルバドルでGBS の報告が急増しています(*5)。

 これまでのエルサルバドルの年間GBS発症者数の平均は169(1カ月当たり14人程度)でしたが、2015年12月1日から2016年1月6日までの約1カ月間に46人がGBSを発症、2人が死亡しました。それらのうちの12人が、発症前15日間にジカウイルス感染症のような症状を経験していたことが確認されています。

 GBSは、一般に下肢の麻痺から始まり、だんだんと上半身に麻痺が拡がって歩行が困難になり、呼吸筋や脳神経にも麻痺が起こる病気です。通常は、発症から数週間後に回復しはじめ、徐々に元の状態に戻ります。ただし、欧米では4~15%、日本でも1%が死亡しており、20%の患者に1年後も障害が残っていると報告されています。

 GBSは自己免疫疾患と考えられていますが、原因は明らかではありません。ただし、患者の約7割が、発症前の4週間に何らかの感染症にかかっています(関連記事「鶏肉の生食で毎年500万人の食中毒!? 『カンピロバクター』が原因、一部に神経麻痺も」)。

リオ五輪後に日本にジカウイルスが持ち込まれる危険性

世界中から観光客が集まるリオ五輪だが…。(©Rafal Olkis-123rf)
世界中から観光客が集まるリオ五輪だが…。(©Rafal Olkis-123rf)

 リオ五輪は、ブラジルでは冬に当たる2016年8月に開催されますが、ネッタイシマカに刺される危険性は十分にあります。リオデジャネイロの平均最高気温は8月でも25.6度、最低気温は18.9度で、東京の6月、9月とほぼ同等です。

 厚生労働省によると、米疾病管理予防センター(CDC)の情報に基づく2016年1月15日時点のジカ熱の流行地域は、ブラジル、コロンビア、エルサルバドル、仏領ギアナ、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、マルティニーク、メキシコ、パナマ、パラグアイ、プエルトリコ、スリナム、ベネズエラとなっています。

 ジカウイルスを媒介できるヒトスジシマカは、青森以南に広く生息しています。ブラジルでジカウイルスに感染し、日本に帰国した人が、ヒトスジシマカに刺された場合、その蚊が、次の誰かにジカウイルスを感染させる危険性があります。ジカウイルスを保有する蚊が大きく増えれば、妊婦が蚊に刺される機会が生じるでしょう。生まれる子どもは小頭症になるかもしれません。

 ブラジルでのジカ熱発生が初めて報告されたのは、2015年5月でした。感染は瞬く間に拡がり、半年後には多くの小頭症の新生児が生まれるようになりました。このスピードを考えると、五輪をきっかけに世界の複数の国で、同様の悲劇が発生することが、今、強く懸念されています

 ジカ熱やデング熱のような、蚊に媒介される病気を防ぐためには、蚊の生息する場所に近づかないこと、そして、蚊を繁殖させないことが何より大切です。身の回りの小さなたまり水でも蚊は育ちます。2016年の夏に向けて、ボウフラ退治に励みましょう。



■関連記事
「夏本番、今年も『デング熱』流行に注意!」(ヒトスジシマカが媒介する感染症)
「鶏肉の生食で毎年500万人の食中毒!? 『カンピロバクター』が原因、一部に神経麻痺も」(ギラン・バレー症候群)

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