『究極の食事』著者が語る、「体に良い食品」の見極め方
エビデンスレベルが低いのは経験談、最強はメタアナリシス
村山真由美=ライター
「健康に良い食事」に関する情報があふれているが、中には誤った情報や根拠が希薄な情報もある。健康情報に接するとき、どんな点に注目すればいいのだろう。2018年11月、大塚食品が肉の代わりに大豆を使ったハンバーグ「ゼロミート」を発売し、その記者発表の際、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)内科学助教授で、書籍『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(東洋経済新報社)の著者としても知られる津川友介さんが講演を行った。その話から「体に良い食品」を見極めるヒントを紹介する。

最強のエビデンスは「メタアナリシス」
津川さんは、講演の最初にクイズを出した。まずそれぞれについて、正解か不正解かを考えてほしい。
- (1)炭水化物は健康に悪く、食べると太る
- (2)ステーキは健康に良く、食べても太らない
- (3)大豆などの豆類は健康に良い
正解は以下の通りだ。
- (1)不正解
- (2)不正解
- (3)正解
糖質制限ブームなので、(1)は正解と思った人が多いのではないだろうか。(2)は悩んだ人が多いかもしれない。(3)は正解と答えた人が多いだろう(それぞれの答えの解説は記事後半で紹介する)。近年、ちまたには食と健康に関する情報があふれている。「この前は○○を食べると体に悪い、と言っていたのに、きょうは良いと言っている」ということも少なくない。私たちは一体、何を信じればいいのだろうか。
「情報に惑わされないためには、エビデンス(科学的根拠)のレベルを見極めることが大切です。最も信頼度が低いのは、個人の経験談や専門家の経験に基づく意見。その上が観察研究。その上がランダム化比較試験、最も信頼度が高いのがメタアナリシスといわれるものです」(津川さん)
個人の経験談の信頼度が低いことは分かるが、専門家の経験に基づく意見の信頼度も低いとは、意外に思った人もいるのではないだろうか。しかし、「専門家による『何万人の患者さんを診ました。私の経験上これがすごくうまくいくんです』という意見は大事な情報ではありますが、その人たちがうまくいったからといって、ほかの人もうまくいくとは限りません。うまくいかなかった患者さんたちは病院やクリニックを変えているかもしれませんし、そもそもうまくいきそうな患者さんだけ選んで診療しているかもしれません。一方、多数の人を対象にした客観的な研究から導き出した健康情報を実践すれば、健康で長生きできる確率は高くなると考えられます」と津川さんは言う。
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